いずれの声明も「マスコミへの牽制」の意味合いが強く感じられ、その是非は別にしても業界内から「昔のジャニーズに戻ってしまった」という声が出るのも理解できなくはない。

 また、KAT-TUNの中丸雄一はレギュラー出演している日本テレビ系情報番組『シューイチ』で、事務所に忖度せずに性加害問題について厳しくコメントしていたことで大きく評価を上げていた。ところが、8日の放送では会見について「一部の記者さんが暴論とも取れるような質問をする方だったりとか、とても感情的になってしまう方がいらっしゃったのがちょっと気になった点ではありますけど、おおむねジャニーズ事務所的には言いたいことは伝えられたのかなと思う」と評価した上で、NGリストに関して「最後に紙一枚、発覚したことでちょっと印象が変わってしまった」「11月に会社を設立して補償に動くという発表があったのに、紙切れ一枚のせいでそちらの報道はほぼない」などと指摘した。

 何より重視すべき被害者補償から焦点がずれてしまうという意味ではあったものの、かなり重大な問題と思えるNGリストを「紙切れ一枚」と表現したことに視聴者からは疑問の声が相次いだ。さらに「めちゃくちゃ本音、話していいですか」と前置きした上で、「記者さんがスタンバイして、カメラも置いてるはずじゃないですか。1枚の書類(NGリスト)を見られた場合、世の中がどうなってしまうのか誰しも分かると思うんですよ。その紙をわざわざファイルの一番上に置いて、わざわざ下手から上手に歩くっていうのは何か不自然。裏がないとしても、その行動はプロフェッショナルではない」と語り、ジャニーズを陥れようとしたのではという疑念をにおわせた。

 そもそも性加害問題はジャニー氏が起こした事件であり、タレントや関係者に罪があるわけではない。だからこそ、メディアから集中砲火を浴びれば言い返したくなるのも人情的には理解できるが、「企業としての責任」を問われている現状を考えると、あまり感情的に反発するのは得策ではないように思える。ジャニーズの態度は“硬化”する一方となっているが、それが「出直し」に向けた歩みに悪影響を及ぼさないことを祈りたい。