途方もない挑戦の実話が映画化(Sony Pictures Releases UK / YouTube)
9月15日、映画『グランツーリスモ』が公開。この記事では、不可能を可能に変える、実際にあった挑戦を描く今作の魅力を紹介する。
<目次>
・あらすじ
・ゲームに興味のない人にこそ観てほしい
・大画面で観ることに価値がある
・イケおじ名優たちの共演
映画『グランツーリスモ』のあらすじ
世界的大ヒットのドライビングゲーム「グランツーリスモ」のプレイに夢中なヤン。父親からは「レーサーにでもなるつもりか、現実を見ろ」とあきれられる日々。そんなヤンにビッグチャンスが訪れる。世界中から集められた「グランツーリスモ」のトッププレイヤーたちを、本物の国際カーレースに出場するプロレーサーとして育成するため、競い合わせて選抜するプログラム「GTアカデミー」だ。
プレイヤーの並外れた才能と可能性を信じて「GTアカデミー」を立ち上げたひとりの男(オーランド・ブルーム)と、ゲーマーなんかが通用する甘い世界ではないと思いながらも指導を引き受ける元レーサー(デヴィッド・ハーバー)、そしてバーチャルなゲームの世界では百戦錬磨のトッププレイヤーたちがそこに集結。彼らが直面する、想像を絶するトレーニングやアクシデントの数々。不可能な夢へ向かって、それぞれの希望や友情、そして葛藤と挫折が交錯する中で、いよいよ運命のデビュー戦の日を迎える───。(公式サイトより)
ゲームに興味のない人にこそ観てほしい、感動のスポ根映画
もちろん今作の熱い予告編や口コミだけで興味を持ち、映画館に足を運ぶ人もいるだろう。しかし逆に「『グランツーリスモ』って、ゲームでしょ?ゲームをやらない自分には無縁だろうし、レースにもあまり興味がないな」といった声が上がることも容易に想像がつく。
しかし、今作は「ゲーム、ゲーマーなんか興味ない」と思っている人にこそ観てほしい映画だ。
なぜなら今作は、ほとんどの人々に「ゲーマーなんか」と見下される青年が、わずか一握りの信じてくれる味方を得て、プロレーサーとして羽ばたいていく物語だから。
誰もが「ほぼ不可能」と言い捨てるような夢を見続け、でもチャンスを得られずにくすぶっている。そんな青年が、自動車メーカーとテレビゲームが組んだまさかの企画が実現したことによって才能を認められるチャンスを得る。そして、プロレーサーだった過去を引きずる師匠との絆を深めながら修行を積み、酸いも甘いも味わって成長し、ある大きな感動を届けてくれる。
今作はそんな「感動のスポ根物語」であり、そしてなんといっても冒頭から述べているとおり、実際にあった話だ。
『バーレスク(2010)』『アリー/スター誕生(2018)』『クルエラ(2021)』…なんでもない存在だった主人公が、幸運にも得たチャンスや人脈をきっかけに、持ち合わせた実力と並々ならない努力によってのし上がっていく、いわゆる「シンデレラストーリー」はいつ観ても感動的なもの。『グランツーリスモ』は、実話にしてそんな「シンデレラストーリー」を体現するような1作。誰もが感動できる王道映画なのだ。
「ゲームや車が好きな人が観る映画」という先入観だけで観る候補から外してしまうのはもったいない作品だと言いたい。
大画面で観ることに価値がある、圧倒的臨場感
「ゲームやレースに興味なくても観てほしい」とは述べたが、もちろん今作はレースの映画でもある。
レースシーンの映像の臨場感・迫力だってもちろん魅力の1つだ。
一人称視点(主人公の目線)による映像も含め、さまざまなアングル、さまざまな撮り方で大迫力のレースを楽しませてくれるので、逆に言えば「大スクリーンで観るかどうかで感じ方が大きく変わる」といえる作品でもある。
さらに、今作は実在の人物ヤン・マーデンボローを主人公として描き、演技パートでは俳優アーチー・マデクウェがマーデンボローを演じているが、なんとレースシーンではマーデンボロー本人がカースタントもこなしているのだ。
そんな今作はIMAX、4DXといった、その迫力をより本格的に感じられる上映形式でも上映される。ぜひ考慮に入れていただければ幸いだ。
“イケおじ”名優たちの共演
『グランツーリスモ』では、その豪華なキャストにも注目したい。
今作で主人公ヤンの師匠となるジャックを演じるのは、ドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のジム・ホッパー役や、映画『ブラック・ウィドウ』のレッド・ガーディアン役で知られるデヴィッド・ハーバー。「時に厳しく、時に優しく」という言葉があまりに似合う師匠を、その持ち合わせた迫力と温かさで演じたハーバーの演技をぜひ噛み締めていただきたい。
さらに、ゲーマーをレーサーにするプロジェクトを立ち上げる、英国日産の情熱的なダニーを演じたのは、『ロード・オブ・ザ・リング』『パイレーツ・オブ・カリビアン』のオーランド・ブルームだ。美青年のイメージだったブルームは、46歳になって驚くほど渋い、まさに「イケおじ」と言われるような風格が滲み出ている。
加えて、主人公ヤンと衝突しがちな父を演じたのは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のコラス役などでも知られるジャイモン・フンスー。スティーヴン・スピルバーグ監督の『アミスタッド(1997)』でアカデミー助演男優賞にノミネートされたこともあるフンスーが、今作でも「さすが」としか言いようがない父親役の名演を見せてくれる。
そんな、「イケおじ」な名優たちの豪華共演に注目だ。
おわりに
「その界隈(今作でいえばゲーム業界やレース業界)では偉大な業績を立てて有名だけど、世間の人々はそこまで知らない」というような人物の実話にスポットを当てて、誰もを感動させてくれる。それが映画の良さの1つだ。
今作はそんな映画のすばらしさを改めて感じさせてくれる1作だろう。
『グランツーリスモ』は、9月15日より全国公開。
監督:ニール・ブロムカンプ(『第9地区』『チャッピー』)
脚本:ジェイソン・ホール、ザック・ベイリン
出演:デヴィッド・ハーバー、オーランド・ブルーム、アーチー・マデクウィ、ジャイモン・フンスー