◆「女にはお尻のほかにもう1つの穴があるらしい」
誰にも助けを求められず、逃げることもできずに、ボス太郎たちからの性被害に耐え続けるしかなかった5歳のゆっぺさん。一方ボス太郎たちの行為は、服を脱ぐことを強要してくるまでにエスカレートしてしまいます。
ボス太郎は歳の離れた兄の影響で、「女にはお尻のほかにもう1つの穴があるらしい」ことを知り、仲間と一緒にゆっぺさんで確認しようとしたのです。
これまで触られはしても、脱がされたことはなかったゆっぺさん。迫りくるボス太郎たちに今まで以上の恐怖と羞恥心を感じ、そこでようやく「やめて!」と言うことができました。
ただ、「やめて」とボス太郎の仲間を弾き飛ばしたこと、そして弾き飛ばされた男の子の泣き声で先生が部屋に入ってきたことから、ボス太郎に「許さない」とすごまれてしまいました。
何もかもが計り知れない恐怖だったのでしょう。翌日、ゆっぺさんは母親に仮病を訴えて、ついに幼稚園をお休みしてしまいます。
それでも仮病では1日休むのが限界です。休んだ次の日、重たい足取りで幼稚園へ向かったゆっぺさんを待ち受けていたのは、思いもよらない展開でした。この続きは、本書で確認してみてください。
◆今この瞬間にも悩んでいる子どもがいるかもしれない
幼稚園で受けた性被害を母親にも先生にも打ち明けることなく、大人へと成長したゆっぺさんですが、保育園に通う娘さんが園で流行っている“お友達の下着をズボンごと下ろす遊び”への悩みを打ち明けてきたことをきっかけに、「子ども同士の性被害に気付いていない大人たちに知ってもらいたい」と、マンガ化を決意したそうです。
これまで、ボス太郎の行為によって「傷ついていた自覚はなく、トラウマにもなっていないと思っていた」というゆっぺさんですが、いざ描き始めると、「悲しくもないのに涙が出てくることが何度もあって、気持ちを封印していただけで、無意識ながらもしっかり傷付いていたのだとわかりました」と、初めて自分の本心に気付いたそう。
本作は当初、ゆっぺさんのブログで『なんで言わないの?子供同士の性被害』として公開されました。すると、「同じような体験をした」という読者からのコメントが多数寄せられることに。ゆっぺさんは、「こんなにも隠れた被害者がいるということは、今この瞬間にも悩んでいる子どもがいる可能性があるということです」と、子ども同士の性被害について大人に知ってもらいたいとの思いを、より強く抱くようになったといいます。
そのため、本書では実話を基にした子ども同士の性的トラブルの解決法や、小さな子どもや思春期の子どもへの性教育についてもマンガで紹介しています。