◆「自分たちの世代から急にダメなんて……」と驚く加害者たち

中川:だからこそ、実際に困るような環境を作ることはとても大切です。学びましょう、といっても人は学びません、学べません。そんなに簡単に人は自分を変えようとは思えません。だから、困ってもらうことが重要だと思います。

ハラスメント防止法などによって実際に処罰されるようになったら人は変わろうとします。最近も映画監督の性加害や、お笑い業界の性加害、アイドル業界の性加害などが続々と取り沙汰されるようになりました。これまでのたくさんの被害者の方を思うと言葉も出ないほどの悲しみ、傷つきの蓄積があると思いますが、それでもなんとか向き合っていく。

この時に、加害者たちは突然自分たちがやっていることが悪だと断罪されることに驚いていると思います。上の世代は普通にやっていたのに、自分たちの世代から急にダメなんて……と。部活で顧問や先輩にしごかれていた世代が、後輩をいびろうと思ったらそれはダメと言われるような感覚というか、そういった不平等感を感じ、自分たちは貧乏くじを引いたと思っているかもしれません。