◆爆乳女性と二人きりで洗い物をすることに
恐怖の事件は洗い場で起こったのです……。
「男性陣は大きなコンロやテーブルの撤去をして、広場でうちの子と遊んでくれていました。虫が好きなので、トンボを追いかけて帽子を投げて転んで……。また投げてって。あちこち動き回ってたな~」
その間、磨紀さんと参加者で唯一の女性K子さんは、お皿や小物の洗い物に回ったそう。
「なんとなくそんな流れになって。K子さんと2人で洗い場に並んで作業してましたね。私も久しぶりに楽しいお酒が飲めて……。そうだなぁ~あの時は、ちょっと浮かれていたのかな」
洗い物をしながら、K子さんは磨紀さんにこう言ってきました。
◆私にとって“お兄ちゃん”のような存在
「剛志さんには本当にいつもお世話になってて……私にとって、お兄ちゃんのような存在なんです。剛志さんには私、本当の妹のように可愛がってもらってて……この間もいろいろあって相談したんですけど、親身になって聞いてくれて……嬉しかったな……最近、帰り結構遅かったですよね。ごめんなさい」
ふわふわとした楽しい気持ちから、一気に氷の世界へ引きずり込まれた磨紀さん。急に心がザワついて、言葉に詰まってしまったそう。
そんな磨紀さんをみて、K子さんはさらに続けます。
「ほんっとに磨紀さんがうらやましいです。あんなに素敵な方と結婚できて」
K子さんはそう話したあと、まるで反応を試しているかのように磨紀さんの目を真っ直ぐ見つめたそうです。さっきのニコニコ顔と違った、ちょっと意地悪な微笑みをしながら……。
「私は、突然のことで体が固まってしまって声も出ませんでした。あんなニコニコして元気なタイプの子でも、裏の顔があるんだなぁって驚きました。
もちろん、うちの夫は浮気とか絶対にしないタイプなので、K子さんが同性にジェラシーを感じさせて、いじめるのが好きな子だったって話なんですけどね」
そう言ってうっすら微笑んだ磨紀さんなのでした。
<文/木村ひかる イラスト/zzz>
【木村ひかる】
湘南在住の編集者/ライター。4人の子どもを出産後、独学でライターに転身。多数のメディアにコラムを寄稿している。「自分が読みたい記事」を書くのがモットー。
Twitter:@hikaru___kimura、Instagram:@hikaru.writer