◆ヤングケアラーを生み出す家庭での「父親の不在」
――ヤングケアラーの家庭にはどんな特徴があるのでしょうか?
水谷:親が精神疾患を含む病気だったり、心身に障害があって家事ができない代わりに子供が負担するようになったりします。虐待があることも多いです。「精神疾患の親に暴力を振るわれた」という話もよく聴きました。機能不全の家庭で、子供が家事を頑張って回している感じでした。
――本書の主人公は女の子ですが、家事を担わされるのは女子が多いのでしょうか?
水谷:私が取材した10人中8人が女性で、「お兄さんがいたのに自分ばかり家事をやっていた」という人もいました。でも妹の世話を含めて家事をしていたという男性や、うつ病のお母さんの代わりにずっと料理をしていた一人っ子の男性もいました。
いずれにしても違和感があったのは「父親の不在」です。父親がいるのに、子供に全てを押し付けて家事に全く関わろうとしないのが不思議でした。関わらないだけではなく、離婚して父親が家を出てしまうケースも結構ありました。その場合、経済的に苦しくなってしまう家庭もありました。