「『実は、これからセミナーがあって1人で行くのは少し緊張するから茉里を誘ったんだよね』と言うんです。その時点で『アレ?』と思ったんですよね。
なぜ、そう思ったのかというと、その2か月前くらいに東京の友達から『ネットワークビジネスの勧誘をされて困ったよ~』という話を聞いていたんです。それで少し気になっていろいろ調べていたことがあって、セミナーに誘うというのはお約束の勧誘方法だったんです」
しかし、話を聞いてみないことには分からないかも……と思った茉里さん。そこで、「それって怪しい話じゃないよね? 実は私の友達が最近、そういう勧誘にあって……」とカナさんが何か言う前に仕掛けました。
「すると、急にカナが焦りだして『そんなんじゃないよ! 収入も増えるし、やりがいもあるし……』『今の収入だけじゃ不安じゃない? 将来への投資にもなるよ!』と、矢継ぎ早にお約束のセリフを並べてきたんです。これは相当ハマってるなと思いましたね。
そのあとも、『絶対に儲かる』とか、お決まりのようなセリフを並べてきて、あまりにもしつこいので、つい『カナのことは友達だと思っているけれど、これ以上しつこいならマルチ商法の勧誘とみなして通報も考えるから』と言ってしまいました。ちなみにこれもネットで調べたときに覚えた断り文句です。その一言でさすがのカナも大人しくなり、『わかった、もう誘わない』と逃げるように帰っていきましたね……」
◆妹に話すと「地元で揉めないでよ!」
実家に帰ったとき、どっと疲れた……という茉里さん。カナさんからの勧誘よりも友情が切れてしまうかもしれないことにショックを受けていると、茉里さんの妹が帰ってきました。妹さんは歳が離れていて、当時は実家から地元の大学に通っていました。
「あまりにも落ち込んでいる私を見て、妹が『何かあった?』と聞いてきたんです。そういえば、妹もカナとは顔見知りだったなと思い、その日起きた話をしました。すると妹は急に鬼の形相になり、『地元で揉めないでよ!』と大激怒したんです。