穐田氏は自分が代々続く家系の14代目と言っていたようだから、第一子が男の子だったことで喜んだはずだ。だから続けて次男を産んだ。それでももしかしたら夫は変わらなかったのかもしれない。
その「変わらなさ」が女性問題なのか、家庭に目を向けないことなのかはわからないが、とにかく妻の心に寄り添ってくれなかったのは明らかだろう。3人目は女児だが、今度こそ、変わってくれるのではないかという期待があったとも考えられる。
◆「夫をあきらめる」のではなく、いさぎよく離婚した菊川怜
それでも夫というものは変わらないのだ。一般的な夫婦の場合、妻は静かに夫を「あきらめて」いく。そして夫のATM化が始まる。それに気づいた夫は家庭内に居場所を感じられなくなり、さらに夫婦仲は冷え切っていくという負のスパイラルに陥(おちい)る。
ところが菊川さんは、そうはしなかった。仕事に復帰してみて、これならやっていけると手応えも感じたのだろう。潔(いさぎよ)く離婚を選んだ。
彼女は子どもたちを連れて実家に戻っているようだ。これもまた、離婚には適した環境があったといえる。
祖父母が子どもたちを見てくれるなら、自分は安心して思いきり仕事ができる。子育てという意味で親に助けてもらったとしても、独身時代と違って親に依存する関係性にはならないだろう。2級建築士の資格ももっているのだから、そのアイデアを生かした仕事もあるかもしれない。夫の収入を考えれば、養育費もきちんと支払ってもらえるはず。
夫というストレッサーを「排除」すれば、これからの自分と子どもたちの未来が見えてくる。長男が入学する前に答えを出したいという気持ちもあったのではないだろうか。子を優先させる母の心理が見えてくる。
◆「離婚」はネガティブではなく、人生の始まりかもしれない