◆3.口から出す、吐き出す練習や経験は必要な場合も
異物や危険を察知した場合に、意外とやったことのないのが、「口から出す」という対処法。
本能だからできるはず、という思い込みは禁物です。
口から出すのは汚い、悪いことだと決めつけることなく、子どもが違和感を察知したら、迷わず吐き出すという練習をしてみることも時として重要です。
私たちはどこかで「出される食事は受け入れるのが正義」という固定観念にとらわれて生きている時があります。これは社会性や協調性を育む要因にもなりますが、時として個人を傷つけてしまうきっかけにもなると、多くの子ども達の様子や悲しいニュースを目にして実感してきました。
そこで私は我が子と一緒に“食事の避難訓練”というコンセプトで、子どもが食に対する危機意識や判断力を高める練習をしています。
無理なく、楽しみながら、でも真剣に、というのが重要です。これからはますます命や人権が尊重され、食事の安全・安心が重視される時代です。そして親子の心のケアも軽視してはなりません。
悲しい事故が起こらないよう、今一度家庭で食に関する話し合いや確認をしてみることは、決して無駄にはならないはずです。
<文/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12