◆15年の時を超え、デジャブ…
「酔ったN先輩は『やっぱり忘れられない…』と駅の構内で泣き始めてしまいました。もうずっと前のことですし、懐かしい笑い話で済むと思っていたので、驚きました。なんとか話を聞いてなだめようとしましたが、なかなか帰らせてくれません」
酔いもあってか、どんどんエスカレートして泣き崩れるN先輩。
忘年会シーズンで夜が更けるにつれて駅には人がたくさん。通りすがりの人が珍しそうに見て行きます。
「駅の構内といっても外の風が直接吹き込むので、極寒でした。もう会いたくないし、ここで納得してもらって別れないと後から何かあっても嫌だなと思い、必死でした。
N先輩には申し訳ないですが、今は別の彼がいて、その人と婚約していると嘘をついてやっと帰らせてもらえました。正直、最後の方は鬼気迫る表情でちょっと怖かったんです」
婚約と聞いても「考え直してほしい」と言って迫っていたそうですが、「わたしの幸せを考えてほしい」と言うと少し冷静になり、しぶしぶ承諾したN先輩。終電ギリギリに電車に滑り込んだ加藤さんは、それはもうグッタリしてしまったと言います。
「昔のことだからと軽く見ていたわたしがいけなかったのかなと反省しました。お開きになった後のことは、わたしと先輩以外誰も知りませんが、もうごめんです。残念ですが、サークルの飲み会には誘われても二度と行かないでしょうね」
楽しいはずの同窓会にも、思わぬ落とし穴が潜んでいる可能性も。昔のことだからと、軽んじず、参加は慎重に決めても良いかもしれませんね。
<文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako