自立訓練施設とは、障害者総合支援法という法律に定められている施設のひとつで、障害者が地域生活を送る上で、身体能力や生活能力の維持・向上を目的として設置されている。自立訓練は身体障害者を対象とした「機能訓練」と、知的障害・精神障害者を対象とした「生活訓練」に分けられるが、「ランパートアカデミー」は、「生活訓練」のほうで、通所者は精神障害者と軽度の知的障害者が中心。なかでもメインを占めるのが、統合失調症、うつ病、発達障害などを抱えた精神障害者だ。
「ランパートアカデミー」は、千代田区のオフィス街にあり、その内装も、最先端のお洒落なオフィスといった洗練された雰囲気だ。調理、刺しゅう、金銭管理、パソコンのスキルアップなどのプログラムを、利用者が自由に選んで体験できるようになっている。中には、独自にパソコンの動画編集などを学ぶ人もいる。化粧が苦手な女性のために、メイクの講座も行っており、メイクができるようになって人前に出る自信がついたという女性もいるという。
「人によって特性とか得意、不得意はみなさん違うので、個別にいろいろなカリキュラムを提供しています。集団で同じプログラムをやることが苦手な方は、個別にできるというところに魅力を感じて、うちを選んでくださるケースが多いですね」
このように言うのは、施設を案内してくれたマネージャーの中島絵里奈さんだ。通所者は近隣の区のほか、神奈川県から通ってくる人もおり、20代30代の若い世代が中心。それまでひきこもりだったり、学生時代に精神疾患を発症して、まだ一般就労をすることは難しいが、一般就労にいたるまでのステップとして、さまざまな経験を積みたいと思ってやってくる人が多いという。訪問した時はちょうど、昼食とお茶の時間にあたっていて、利用者同士が談笑している様子を見ることができた。