今まで自分だけで抱えてきたツラさや悲しみを、一番大切な人と分かち合える喜びを感じるたび、かなさんは友広さんとの将来を思い描くようになっていきました。

「持病があるから、自分に結婚は無理かもしれないと思っていたけれど、こういう人もいるんだなと知れて、未来が明るくなりました」

 しかし、付き合いが長くなると、友広さんの言葉に違和感を覚えることが……。

「障害者手帳を持っていると言っていたのに、数か月後に話した時には申請していないと言ったり……。あれ? つじつまが合わないなと感じることが増えました」

◆持病の話は彼のウソだった!

若い女性 考える 悩む
 そんな違和感が決定的なものに変わったのは、付き合ってから1年半がたったある日。

「付き合って1年も経つと、障害の話をあまりしなくなったのですが、私は結婚も考えていたから、彼の病気がもし再発したときにどんなサポートができるか考えたくて、改めて病気について詳しく聞いておこうと思いました」

「ねえ、友くんの病気って、どんな病名だったの?」そうかなさんが尋ねると、友広さんは笑いながら「え?なんの話?僕は病気なんてしたことないよ」と言った後、マズイという顔に……。その表情を見たかなさんは、病気の話が嘘だったのだと悟りました。

「月日が経って、彼は自分が作り上げた設定を忘れていたみたい。なんで、そんな嘘をついたのかと尋ねても、何も答えてくれませんでした」

◆「持病を打ち明けること」が怖くなり…

 心を踏みにじられたと感じたかなさんはデートを中断し、帰宅。すると、その日以降、友広さんから一切連絡がこなくなり、LINEもブロックされました。

「結局、彼は何がしたかったのか、いまだに分かりません。どうして、私に話を合わせたのか、そして残酷な嘘をついたのか……。ちゃんと知りたいです」

 そうは言いながらも、かなさんは友広さんのことを早く忘れたいとも思っています。