◆服をビショビショに汚されて震える
「Bさんの息子くんが『おしっこー!』と言い出しBさんがトイレに連れて行こうとしたのですが、かなり飲んでいたので立ち上がりながらよろめいちゃってて。するとみんなが『危ないよ~』『ただでさえねん挫してるのに!』などと言い出して、やはり私が連れて行くハメになったんです」
花見シーズンの公園のトイレは長蛇の列。うんざりしながら並んでいたところ、Bさんの息子がついに限界に。「もれる!」と騒ぎ出したとか。
「順番はまだまだだし、こうなったらもう、申し訳ないけど野ションさせるしかありません。Bさんの息子くんを抱えて、公園の出口付近の茂みまで必死でダッシュしました。が、もう少しのところでお腹付近がジワ~ッと生温かくなって……。そう、盛大におもらしされてしまったんです」
びしょ濡れで戻った斉藤さんを見て、さすがにBさんは謝罪を連発。
「子どもの粗相(そそう)を責めるわけにもいかないので『気にしないで』と返しましたが、内心ははらわたが煮えくり返ってましたね。なんで人をこき使って好き放題飲んでたヤツのフォローをしてこんな目に……と。Bさんの息子くんは着替えてまた楽しく遊んでいましたが、私は着替えなどなく濡れタオルでおしっこを拭き取ったので、さらにビショビショ。その日は花冷えで風も強めだったので、体が芯まで冷え切ってしまいました」
早めに切り上げたものの寒気がおさまらず、その夜発熱してしまったという斉藤さん。
「本当に人生最悪の花見でした。自分で言うのもなんですが私はもの静かでニコニコしているので、使えそうだと目をつけられたんでしょうね。パシリ要員として誘われただけなのに、喜んでのこのこ出向いた自分が情けないです……」
その後も何度かお誘いがあったそうですが、「もう二度とママ軍団の誘いには乗らない」と心に決め適当な理由をつけて断り続けたら、ターゲットが別に移ったとか。上位カーストママ軍団のしたたかさ、恐るべしです。
―シリーズ「春のトホホ」体験談―
<文/鈴木うみこ イラスト/やましたともこ>