五頭:認知症があって借金もある老人ということで……まさに今の私です(笑)。特別な人間ではなくただの老人だと考え、あまり深くは考えませんでした。
――短いシーンながら、ものすごいインパクトでした。
五頭:そう感じてもらえたのなら役者としては本望ですね。「なりすまし」を演じる役なので、手配師の麗子(演・小池栄子)や法律屋の後藤(演・ピエール瀧)に教えてもらったことを返すだけですから、すべて受け身の役なんです。自分としては話すスピードだけを気をつけていました。それが結果、身近にいそうな老人として皆さんの目に留まり、強いインパクトを残したんだと思います。
◆『水ダウ』無言の老人役は「不気味な仕事でした」
――ピエール瀧さんとは白石和彌監督の映画『凶悪』でもご共演されていますね。
五頭:はい、瀧さんに殴られ生き埋めにされる役でした。なぜか瀧さんにいじめられる役が多いですね(笑)。『凶悪』が白石監督との出会いの作品でもあり、その後、ドラマ『フルーツ宅配便』(テレビ東京系)やAmazon Prime Video『仮面ライダーBLACK SUN』でも使っていただきました。そのまま私で当て書きするかのようにご依頼いただいたのが映画『死刑に至る病』でした。白石監督にはご縁をいただき感謝しております。
――それらの役も『地面師たち』でのブレイクにより再注目されていますよね。中でも『水曜日のダウンタウン』(TBS)で「無言の老人」として登場したシーンも「怖い!」と話題です。
五頭:あれね……。ロケ地のキャンプ場のバンガローで待機しつつ、日没後に落とし穴に落ちてる芸人さんを「とにかく動かず見つめて」と言われて。再現ドラマに出るよりもキツかったです(笑)。だって落とされて可哀想な芸人さんを無表情で見つめ続けるなんて……涙が出ました。私にとってもキツくて不気味な仕事でした(笑)。
――セリフがないのもしんどいですね(笑)。五頭さんは6種類の方言を駆使するそうですが、どのように取得したんですか?