また、平本はフィジカルトレーナーから勧められた注射を自分で打ったとしているが、これについては同席した医師が「日本では医師以外は注射行為をできないし、ちょっと信じられない話と思ってます」と苦笑。法に触れる行為である可能性を指摘した。
今回の騒動で浮き彫りになったのは、日本最大の格闘技団体であるRIZINですら、ドーピング検査が「抜け穴だらけ」だったということだ。
通常のスポーツなら多くは厳格なドーピングチェックがあるが、格闘技は「興行」の側面がある。厳しいドーピング検査を実施すれば経費がかさみ、もし人気選手が違反になって欠場すれば客入りやPPV(ペイパービュー/番組やイベントごとに料金を支払う方式)の売れ行きが減少するため、興行的にはマイナスしかない。そのため、長らく日本の格闘技界ではまともなドーピング検査が行なわれず、一部では「ドーピング天国になっている」と指摘されていた。
もしRIZINのようなメジャー団体まで「ドーピング野放し」となると、ファンとの信頼関係が崩壊してしまう恐れがある。
RIZINでは、人気選手の木村“フィリップ”ミノルが薬物使用で出場停止処分を受けるなど、徐々に「ドーピング天国」からの変化の兆しを見せていたが、平本の一件がこのまま「うやむやで幕引き」となれば元の木阿弥だ。
榊原CEOは平本について「(新たな検査基準として追加された際には)血液検査にも応じてもらおうと思う。陰性の確認がとれた上で、大みそかの出場の相談をしたい」と明かしたが、ここでの対応は日本の格闘技がファンから「スポーツ」と見られるか、「興行」と捉えられるかの分岐点になるかもしれない。