確定申告で1年間の損失を3年間繰り越せる

特定口座や一般口座で損失が発生した場合には、必ず確定申告を行おう。確定申告を行えば、その損失を3年間繰り越すことができるようになる。損失があまりにも大きい場合には翌年に損失を繰り越すことができ、翌年に発生した株の利益と繰り越した損失とを相殺することができ、結果的に、翌年の利益を減らすことができるようになる。利益が少しでも発生すればそれにかかる税金も少なくなるので、節税効果が期待できるようになる。

2017年の投資の損益が、損失100万円になった場合で具体的に考えてみよう。損失が繰り越せるのは3年間なので、2018、2019、2020年まで繰り越せることになる。2018年の利益が100万円なら2017年の損失100万円と相殺できるので、利益はゼロにできる。その結果、税金もゼロにできる。万一、利益以上に損失が発生して損失が残ってしまった場合には、残った損失をさらに翌年の2019に繰り越すことができる。

ただし、損失の繰り越しを行うためには、株の売買をしなかった年でも確定申告を行わなければならない。多少面倒にはなるが、損失が繰り越せるというオトクな制度を利用するために必ず確定申告を行いたい。

なお、確定申告を行えば、会社員で得た給料と株式投資等で発生した損失を損益通算できるのかと言えば、それはできない。給料は総合課税となるが、株式等で発生した損益は「申告分離課税」になるため、株式等で税金の計算を行わなければならないからだ。そのため、損失の繰越控除を行うことができるようになっている。

会社員は、年末調整が行われて税金が源泉徴収されているため、自分がどの程度の税金を支払っているかということに無頓着になってしまいがちだが、消費税が導入されてから、税率はどんどん上がり10%になる可能性もある。税金の仕組みをしっかりと理解し活用できなければ、長い人生でたまるお金はもちろんのこと、それによって作り出される生活、時間、精神的なゆとりに大きな差が開くばかりだろう。ゆとりある人生を楽しく送るためにも、税金の仕組みについて理解しておき、お金を自らコントロールできるようにしておくことが大切だろう。

文・横山利香/ZUU online

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