日本最古と言われる南湖公園は、湖を中心として、日本庭園やお洒落な名店カフェなど、リラックスできるスポットがいくつかあります。華やかに彩られる秋の景色を夕暮れ時からライトアップまで、ゆったりと過ごしてみませんか?
南湖(なんこ)公園とは?
場所は、福島県白河市にあり、JR新白河駅から車で10分ほどの場所に位置します。寛政の改革で知られる松平定信によって1801年に築造された南湖公園は、日本最古といわれる歴史ある公園です。江戸幕府八代将軍・徳川吉宗の孫にあたる松平定信は、26歳という若さで、12代白川藩主となり、天明の大飢饉(てんめいのだいききん)の際には、自ら倹約を率先して行い、飢饉による死者を藩から1人も出さなかったと言われます。また、茶人であり、優れた作庭家であった定信は、身分の差を越えて誰もが憩える「士民共楽(しみんきょうらく)」の思想を掲げ、「共楽亭」言う名の茶室も建てています。こういった事柄からも、松平定信が名君と呼ばれる所以だったのでしょう。
湖は、1周約2.4キロ、湖畔には、「南湖十七景」と呼ばれる歌碑が置かれた17の景勝地があり、サイクリングやお散歩にも最適です。春には、800本の桜が咲き競い、人気のお花見スポットでもあります。紅葉時期には、京都の嵐山から移植されたカエデなどが色づき、見事な紅葉を見ることができます。
南湖公園の見どころ
松風亭羅月庵(らげつあん)
南湖神社の境内を進んだ右手にあるのが、松風亭羅月庵。白河藩の重臣が、自身の父親のために、松平定信より拝領した茶室図面に基づいて建立されたと伝えられています。完成後、定信公は何度も茶室を訪れ、茶会を催していたそうです。この茶室では、毎月第2日曜日に白川茶道連盟による茶会が開催されています。一般の方も、参加(有料)できるそうなので、興味のある方は連盟(電話0248-22-1811)に問い合わせてみると良いでしょう。冬季(11月~2月)の茶会は開催されません。
南湖神社
1922年に建立された神社で、御祭神は松平定信です。厄除け開運、商売繁盛など様々なご利益があると、市民から信仰されています。春になると、公園築造の際に植えられたしだれ桜が、参道に咲き誇りますが、定信公の雅号から楽翁桜(らくおうざくら)と呼ばれています。
秋は、見事に紅葉することからカエデやモミジに人気が集中しているのですが、境内の奥に進むと右手奥に立派な大イチョウが空に向かって枝を広げています。暗い森を背に、まるでライトアップされたかのような、黄色い銀杏の木が神秘的です。2024年度に発行される新紙幣一万円札の肖像に渋沢栄一が決定していますが、渋沢氏は、松平定信の熱心な崇敬者として知られ、神社設立の際にも尽力し、鳥居の額も渋沢栄一の筆跡が使われているそうです。
翠楽苑(すいらくえん)
翠楽園は、南湖公園のほとりにある池泉回遊式日本庭園で、1995年に完成しました。庭園内は、ぐるりと散策することができます。美しい庭園内には、小さな滝や小川が作られ、定信公によって建てられた茶室「共楽亭」もあります。園内にある書院造りの松楽亭では、抹茶と生菓子(有料)が楽しめます。8月初旬には灯籠茶会、秋には十五夜月見会など季節ごとの催しがあり、四季折々の庭園の美しさを楽しめます。
ライトアップされると池に映りこんだ翠楽園や周囲の木々、池に浮かべられた灯篭などが、夕やみに浮かび上がり、周囲が幻想的な雰囲気に包まれます。特に紅葉シーズンのライトアップは、色づいた木々が燃えるような美しさです。