積立額の増やしどころの判断はどうすればいい?

最初に考えるのは無理がない金額設定

たとえば、25歳からつみたて投資を始めて、65歳まで40 年間つみたて投資をするとしましょう。会社員や公務員であれば、基本的には少しずつ給料は上がっていくと考えられます。そうすると、つみたて投資を始めた頃に設定した毎月の投資額が、ある時点からは少なく感じてしまうかもしれません。

では、つみたて投資の1回ごとの金額はどのように設定すればいいのでしょうか。

まず、そもそもいくらからつみたて投資を始めるか。最初の設定がとても重要です。最初の設定金額を誤ると、残念ながら長期で保有するというつみたて投資の絶対条件を満たせなくなってしまいます。

国税庁が発表した「民間給与実態統計調査結果」によると、2018年の平均給与は371・6万円となっています。月収に直すと約31万円で、社会保険料などを考慮すると手取りは26万円ぐらいになるでしょう。

そのうち、総務省統計局が発表している『家計調査』によると、単身世帯は約16・4万円を毎月支出しています。

手取りが約26万円で、消費支出が16・4万円ですから、差し引くと9・6万円が残ります。これを全てつみたて投資に充てるわけにはいかないでしょう。

さすがに、将来のための資産を全て投資に回すというのも危ないので、4万円を貯金、3万円を投資、残りの2・6万円は非常時のことも考えて現金で持っておく。これぐらいのバランスがちょうど無理のない配分ではないでしょうか。ちなみに、 毎月3万円であれば、つみたてNISAの年間上限額の40万円にも収まります

つみたて投資を始める際に、自分でエクセルを使って、「毎月いくら投資して、年率〇%で〇年運用すると~」と皮算用をするかと思います。

そうすると、毎月の投資額が多ければ多いほど複利の効果を得られますから、ついつい毎月の投資額を増やしたくなってしまうものですが、無理があっては長続きしません。くれぐれも無理のない範囲を心掛けましょう。

よくある間違い①

相場の変動にあわせて積立額を変更するという人を見かけますが、これは間違っています。相場が下がった時に投資額を増やすというのは非常に理にかなった投資法のように思えますが、そこには大前提があります。その後に相場が上昇するということです。

しかし、誰にも将来を予想することはできません。つまり、相場が下がった時に投資額を増やすという行為が正当化されるのは、将来が予想できている時だけということになります。

将来が予想できないからこそ、自分の予想や感情を完全に排除し、機械的に投資することをつみたて投資では勧めているわけですから、相場の動きに合わせて裁量的に投資額を変更するのはやめましょう。

よくある間違い②

次にボーナスが入った際に、その一部を投資額に追加するという人も見かけますが、これも間違っています。たとえば、毎月3万円を積立額として設定していて、ボーナスが入った月だけ5万円を上乗せして投資額を増やしたとします。

本人には臨時収入が入ったから追加投資したという認識しかないかもしれませんが、その行為は「よくある間違い①」で指摘したことと実は同じなのです。相場が下がったから一時的に投資額を増やすというのと同じということです。

もしボーナスの一部を投資したいのであれば、せめて12で割って、毎月の投資額に上乗せすればいいでしょう。

そうすることで、タイミングを計らずに機械的に投資をするという行動が、少なくともボーナスが入った月から1年間は実行できることになります。

大きな節目での変更のみOK

とはいえ、25歳と45歳の時点を比較すれば、所得も貯蓄も差があり、25歳の時に設定した金額だと物足りなくなってしまうでしょう。そこで、大きな節目の時のみ変更をするといいと思います。

たとえば、転職をして年収が大きく上がった時や、結婚した時など、人生における転換点で設定金額を再考しましょう。

絶対に避けてほしいのは、なんとなく設定金額を決めることです。特に、今月は生活でお金が必要だから積み立てを1ヶ月止めたり、今月は余裕があるから投資額を増やそうなどと、自分の都合で投資金額をコロコロ動かすのは最悪なパターンです。