そして次回はいよいよ幻獣のトップである鳳凰(藤ヶ谷太輔)と対面することになるみたいです。

 ところでこの作品における最大の愛されキャラである幻獣の始末屋・櫛田(フェルナンデス直行)ですが、今回もとってもかわゆい振る舞いを見せてくれました。

 ご自慢のネイルガンでユキを殺したくてウズウズしちゃう櫛田、青龍に止められて殺すことだけは我慢していますが、ユキに向けてギリギリのところにネイルガンを打ち込むというウイリアム・テルごっこを楽しんでいたかと思えば、ユキが「トイレ……」というと素直に縛っていたロープをナイフで切って、ご案内。

 さらに、トイレからの帰りには油断したところを(油断しちゃうのかわいい)ユキに消火器をぶちまけられ、逃げられてしまいます。

 それでも焦ったり走ったりするとキャラが崩れますので、あくまでゆっくり歩きながらユキを探す櫛田。結局、無事にユキの身柄を確保することができましたが、あのまま逃げられる可能性も大いにあったからな。もはやそんなポカさえも愛おしい櫛田なのでありました。

 今後、櫛田が顔をゆがめて命乞いをするシーンとかあったりするのかな。興奮しちゃうな。

■なぜポカが許せるのか

 今回、見張りと櫛田が犯した大ポカは、サスペンスにおいて大きく興を削ぐタイプのミスでした。しかも、2人ともケータイに気を取られているうちにスキを突かれるという、同じパターンのミスを犯しています。

 でも、全然テンションが下がらないんですよね。作品全体を香港ノワールの雰囲気で統一しているので、これくらいの脚本上のポカは「香港映画あるある」として容易に受け入れることができてしまう。さらにむちゃくちゃなテンポで次々に命の危機が訪れているし、ポカによって大きな逆転が起こっているわけではない、一時しのぎにしかなっていないという状況にポカそのものが押しつぶされていく感覚があるわけです。

 第1話のレビューで、「脚本だけ見たら作り込みの甘いところもありそうだけど、いかにも香港ノワールな美学で押し切ってほしい」と書きました。今のところ、めっちゃ押し切られてる。楽しまさせられています。