「しかねる」の正しい使い方はご存知ですか?ビジネスシーンではよく使われる言葉ですが、意外と間違って使っている人も多いんです。「間違って使っているな」と思われないように、正しい意味を知っておきましょう。例文なども交えてご紹介しますので、参考にしてくださいね♡
「しかねる」の3つの意味を解説!
「しかねる」という表現を目にしたり、実際に使っている人も多いでしょう。何気なく日常的に使われる言葉ですが、正しい意味をご存知でしょうか?
ここでは、「しかねる」が持つ3つの意味について詳しく解説していきます。
「しかねる」は日本語ならではの婉曲(えんきょく)表現
「しかねる」とは婉曲表現です。婉曲表現とは、はっきりと断言せずに遠回しに伝える表現のことです。日本人は相手を傷つけないように、はっきりと物事を伝えることを避ける性質があります。そのため、婉曲表現を使うことはよくあります。
ただ単にできないことだけを伝えるのではなく、相手に対する気遣いが感じられますね。
「しかねる」の意味①できない・不可能
一番ポピュラーなのは、できない・不可能という意味ですね。
「しかねる」はそもそも、動詞の「する」の連用形+「かねる」でなりたっている言葉です。「かねる」には、「何らかの事情により、そうしようと思ってもしにくい」という意味があります。
ちなみに動詞の連用形とは、丁寧の助動詞である「ます」や、過去の助動詞「た」に続くものです。例えば、「食べる」という動詞で考えた場合、「食べます」、「食べた」という形になりますよね。つまり、「食べる」の連用形は「食べ」の部分であることがわかります。
「しかねる」の意味②することが難しい
頼まれたことに対し、することが難しかったり、困難な場合にも使用されます。
例えば「判断しかねる」と言えば、「判断することが難しい」、「判断することが困難」だという意味を持ちます。断定的に否定するというよりも、迷いの感情があることが伝わります。
「しかねる」の意味⓷することが耐えられない
どうしても我慢できない時に「耐えかねる」という表現が使われますね。このように「しかねる」には、「することが耐えられない」という、ただ否定するだけではない意味もあります。
「耐えかねる」の他にも「見かねる」といった言葉があります。これらは慣用句であり、決まりきった定型句として使われています。
英語表現は「I'm sorry~」や「I'm afraid~」
「しかねる」を英語で言うとするのであれば、「I'm sorry~」や「I'm afraid~」が当てはまります。
「I'm sorry~」は、「悪いのだけれど…」と相手の要求に反することを丁寧に伝える意味があります。また「No」の婉曲表現でもあるので、「しかねる」と同じような意味ですね。
「I'm afraid~」と言えば、「怖がる」という意味で覚えている方も多いかもしれませんね。「怖がる・恐れる」という意味の他にも、「せっかくですが」や「残念ですが」という、否定の意志を伝える婉曲表現でもあります。
英語で相手に断りを入れなければならない時、「I'm sorry~」や「I'm afraid~」を上手に活用しましょう。
「しかねる」の正しい使い方
ここでは、「しかねる」を使う時の注意点を書いていきます。否定を表現する言葉ですので、相手に失礼にならないように使う必要があります。
ビジネスで使う場合は敬語と合わせて使う
「しかねる」は一見敬語のようにも感じられますが、敬語ではありません。そのため、ビジネスの場で使う時は、敬語と合わせて使わなければ失礼にあたります。
よくあるNG例としては、「できかねます」という表現です。これは「できません」ということを丁寧に伝えようとして、間違って使われることが多々あります。
そもそも「かねる」は「できない」という意味をはじめから持っています。それなのに「できる」と「かねる」を組み合わせるのはおかしいですよね。
しかし、文法上は正しくありませんが「できかねます」は一般的に広く使われています。そのため必要に応じて使っても良いですが、謙譲表現を使った「いたしかねます」が正しい言葉だということは、覚えておきましょう。
「しかねる」を使う時は意味がきちんと伝わるように
先程、「しかねる」の3つの意味、「できない・不可能」「することが難しい」「することが耐えられない」についてご紹介しましたね。一言に「しかねる」と言っても、違う意味を含んでいるのです。
そのため、「〇〇はいたしかねます」と伝えただけだと、受け取り側は「どういった意味なのだろうか…」と戸惑ってしまうこともあるでしょう。
婉曲表現ではっきりと伝えないようにする表現だからこそ、ビジネスの場で使うには細心の注意を払わなければなりません。
ビジネス上、どうしても断らなければならない機会はあるものです。そんな時に、「できない」ということをはっきりと伝えなければいけません。
「しかねる」という言葉を使う場合は、相手に間違いなく伝わるように前後の文を工夫するなどしましょう。相手に伝わっていないようであれば、「しかねる」という言葉を使わないという選択もあります。
「しかねる」はつめたく感じないように配慮を
「しかねる」という言葉を使い断りをいれる場合、状況によっては「つめたい言い方だな…」と思われてしまうこともあります。
それは、先程ご紹介したように「できかねます」と誤った使い方をしてしまうことにより違和感を与えてしまうことも一因でしょう。
また、「しかねる」という言葉自体が相手を突き放すような印象もあります。「しかねる」を使う場合は1言だけで終わらせるのではなく、丁寧に対応するようにしましょう。
例えば「大変申し訳ございません。私は担当ではございませんので、詳細につきましてはわかりかねます」など、謝罪の言葉や状況を付け加えるなどすると良いですね。言い方も一本調子ではなく、感情を込めて相手に伝えるようにしましょう。