◆時効が来れば、罪に問えない

昨年の改正では、公訴時効もあらためられた。これまでは、強制性交等罪で10年、強制わいせつ罪で7年を過ぎたら、加害者を罪に問えなかった。

さいき「作中に、中学生のとき教師から性暴力を受けた円城遥(えんじょう はるか)という人物が出てきますが、彼女は26歳。最後の被害は15歳のときなので、彼女が25歳の時点で時効が成立したことになります。でもその年齢で、子どものときの体験を『あれは性被害だった』と認識するのは、とてもむずかしい」

さいきまこインタビュー後篇
性被害は、遥のその後の人生をとても困難なものにした。自身の被害経験と向き合えるようになった段階で、まだ相手の罪を問える可能性が残されていたら、彼女の回復は違ったものになっただろう、と思わずにはいられない。

昨年、公訴時効は不同意性交罪(旧・強制性交罪)が10年→15年に、不同意わいせつ罪(旧・強制わいせつ罪)が7年→12年に引き上げられた。18歳未満で被害を受けた場合は、18歳になるまでの年月を加算して時効をさらに遅らせる。遥の場合、33歳までは訴える選択肢が持てたことになる。

さいき「それでも、40代になってやっと『あれは性被害だった』とわかる人は少なくないといいます。公訴時効は撤廃が妥当だと思います」