そうして下された中田組長への無罪判決。中田組長が拘束されている間に、五代目山健組は中田組長の命のもと、神戸山口組を離脱し、その後六代目山口組に復帰している。今回、中田組長が社会復帰したことで、今なお続く山口組の分裂問題に何らかの影響が及ぶことになるのだろうか。前出の業界関係者はこう話す。
「五代目山健組が神戸山口組を離脱する際、一部の幹部らは神戸山口組に残留し、現在に至っています。その理由として、神戸山口組に残って中田組長の帰りを待つためだとされています。それに対して、五代目山健組は残留組員らに対して絶縁や破門という処分を下しています」
なぜ一部の組員はそのような行動を取ったのか。先の関係者が続ける。
「中田組長が勾留され社会との直接的な意思疎通が遮断されていた中、神戸山口組からの離脱を命じたとされるためです。つまり、中田 組長の耳に入る情報と、実社会の動きに温度差が生じていた可能性があり、その中で下された命令が絶対的なものと感じられなかったのでしょう。しかし、社会復帰した中田組長はこの間の状況を直接把握できるわけです。そうした背景を踏まえると、中田組長の意思次第で神戸山口組に残留していた組員が神戸山口組を離脱する動きを見せてもおかしくない状況です」
もしこの推測が正しければ、神戸山口組の組織力はさらに低下する可能性がある。六代目山口組体制の是正を目指して設立され、同組織と対立してきた神戸山口組が今後存続していく意義が、改めて問われることになるのかもしれない。
(文=山口組問題特別取材班)