調べを進めると、自殺した者たちはみな「縊鬼」に会ったと言っている。ヒルコの犯行声明とも一致し、オカルトによる連続自殺という形が出来上がりました。
ここから、興玉さんたちがこのオカルトを科学的に突き崩していくことになるわけです。
結論から言って、自殺した5人は薬物中毒者で、うら若き留学生に出資して作った移動販売のパン屋をドラッグ流通の中継点として利用していたのでした。コカインと、パンに含まれていた麦角アルカロイドという病気の小麦が持っている菌の相互作用によって錯乱状態に陥り、自殺したとのこと。5人のうち1人は薬物をやっていませんでしたが、こちらはインスタ映え仮面夫婦をやっているエリート妻がありながらパン屋の留学生と不倫をしていて云々というお話でした。
このドラマの長所として、事件回りの人間関係の配置と描写にすごく気を配っていることがあります。オカルトと科学、という謎解きのテンプレートとは別に、個別の事件それぞれがちゃんと見ごたえのあるミステリーになっているし、事件解決後にも「人間ってなぁ……」という余韻を残すことに成功している。いわゆる「事件にニンが乗っている」ので、事件や関係者そのものに魅力を見出すことができる。
そのうえで、今回も「科学で解決」はそれなりに納得感のあるものでしたので、たいへん満足いたしました。
■「オカルトvsオカルト」へ
それはそれとして、全領域異常解決室が解決を目的としているわけではなく「丸く収める」ことが役割だという話。
今回、解決室の“非正規職員”だというデリバリー男の芹田さん(迫田孝也)に特殊能力があることがわかりました。走り去った車がどこに行ったのか、頭に手をかざして「うーん」とやると、わかるという能力です。
こうなってくると、「オカルトvs科学」という構図から「オカルトvsオカルト」に変わってくるわけです。「オカルトを科学で解決」のその先まで見えてくるということです。