その話を聞いたほこ美は、ますます「殴ってやりたい」という気持ちの持っていきどころに悩んでしまいます。

 ゆいさんは海里くんに「そろそろ自分の人生を生きてほしい」との思いから、自分がセコンドに入る試合のチケットを手渡します。海里くんはそのチケットを手に会場まではたどり着くものの、やはり試合を見ると吐き気を催してしまう様子。

 それでも、無事にセコンドとして勝利を収めたゆいさんが一歩踏み出したことをねぎらって見せる海里くんでしたが、一方で試合に感動し、ボクシングに本格的に目覚めたほこ美には「俺はここで人を殺してる、こっちは入ってくんな!」などとナーバスに言い放つのでした。

 あと、ほこ美と仲良しだと思っていた同僚の撫ちゃん(玉井詩織)が、わりとしっかりほこ美を嫌ってることも明らかになりました。しおりんの性悪な感じ、いいですね。

■花束を踏みつけたのは誰だ

 ところで、海里くんは会場入りの前に平山大地のお墓にお花を供えているのですが、そのお花を何者かが踏みつけるシーンがありました。踏みつけた側の主観カメラでの映像だったので犯人は“隠し”になっていますが、今回のラストは、その踏みつけられたお花からのカットで、ジムの会長(渡部篤郎)が険しい顔でお花を見下ろしているシーンで終わります。

 お花を踏みつけたのは会長だったのか!

 という、どう見てもそういう演出なんですが、それだと話が全然つながらないんだよな。このドラマはルールに則ったボクシングの試合における事故で選手が亡くなるという事態を「亡くなっていない側が償うべき」という考え方で物語を作っています。それ自体はもう文句言ってもきりがないからいいんだけど、その考え方でいえば、会長は平山大地を「殺した側」になる。その会長が、「殺した張本人」である海里くんが備えた花を踏みつけるって、ちょっと辻褄が合わなすぎるんです。

 どうにもおかしいなと思って、花踏みつけの主観シーンをもう一度見直してみたら、犯人は会長ではなく海里くんの同居人で、海里くんと一緒にクズ生活を送っている悟(倉悠貴)なのでした。それなら、まあ話は通じるけど、同系色のパンツと靴だし、これはミスリードなのか、単なる演出ミスなのか、すごく気になっちゃった。