とはいえ、赤ちゃんの泣き声が長めに続いたら、あやしに行ってあげてね。特に、疲れ切った身体に夜泣きは地獄。
私は、夜泣きにほとほと疲れ果てていたとき、母が「夜は任せて」と言って息子を連れ去ってくれたときのほっとした気持ちを今でもありありと思い出す。人類の子育てには、こういう温かい手が不可欠なのだと思う。
◆やってはいけない「スマホ授乳」
実は、母乳育児のママに警告したいことがある。
スマホを見ながらの授乳、やめましょう。理由は3つある。
1つ目は、先に述べたように授乳中の「顔を見合わせる行為」は、脳の発達に寄与するから。
2つ目は、母親が赤ちゃんから顔を背けると、赤ちゃんがくわえる乳首がひどく斜めになってしまうのである。このため乳腺が開きにくく、母乳が出にくいという悩みを抱えがち。乳腺炎になる確率も上がる。
3つ目は、この“斜め乳首”は、あごや歯の発達に支障があることを小児歯科が警告している。考えてみればいい、やわらかくて成長著しいあごと乳歯に、斜めに弾力のあるものが当てられるのである。ゆがんだフレームで歯科矯正しているようなもの。
◆「常時スマホ漬け」だけは回避を!
もちろん、スマホを持っていなくても乳首は多少斜めに入るものだけど、授乳中の乳首はやわらかくて、多少の斜めは赤ちゃんのあごに収まったときに補正される。ただ、スマホに夢中になると、補正の域を超えるのである。
母乳の場合、赤ちゃんが吸い付いてさえくれれば、ママは、わずかな自由時間をもらったようなもの。授乳歴のある私にも、ついスマホに手が伸びる気持ちは、本当によくわかる。
でもね、赤ちゃんの脳とあごと歯並びのため、どうか、その衝動に負けないで。まぁ、たまにやってしまうのは仕方ないとして、「常時スマホ漬け」だけは回避しよう。
<文/黒川伊保子 構成/女子SPA!編集部>
【黒川伊保子】
(株)感性リサーチ代表取締役社長。1959年生まれ、奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に従事、2003年現職。『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。近著に『息子のトリセツ』『母のトリセツ』