◆USJから徒歩30分の民泊
夜行バスは無事に新大阪に到着。乗り心地は最悪だったそう。
「はじめてバスの中で寝ましたが、ひどいですね。椅子を少し倒した状態で、みんないびきをかいて寝ていました。それに、足を上げられないので、足がむくんでパンパン!新大阪に着いたのは朝だったんですけど、寝不足とむくみでフラフラでしたよ」
早朝に新大阪に到着したバスから降りると、彼は「時間が早すぎるから、お茶しよう」と近くのカフェに入ったそうです。
「カフェで、2時間くらい時間を潰すことになりました。荷物が多いし、とりあえず早く荷物を預けてのんびりしたかったですけどね。2時間経った頃、彼が『そろそろ行こうか』と私の荷物を持って歩き始めました」
電車を乗り継ぎ、駅からも少し歩いたところで、彼の足がマンションの前で止まります。
「ようやく到着したのが何故か、マンションだったんです。私は、彼が完全に道を間違えたと思っていましたが‥‥そうではありませんでした」
彼が予約したのは、マンションの一室。民泊できる部屋でした。
◆スーパーの割引弁当を持ち込み
彼が私のために立てた計画とはいっても、 “安く済ませよう”というまるで学生のような旅行計画に紗智さんは涙が出たそう。
「挙げ句の果てに、私が部屋で休んでいる間に彼が買ってきたのはスーパーのお弁当でした。私、せっかく大阪に来たんだから、お好み焼きとか串カツとか食べたかったな。翌日、USJに行ったんですけど、そこでも彼は『館内のレストランは高いから』って、入場前に、松屋で牛丼を食べてから入りました」
当然、帰りも夜行バスで新宿まで帰ります。
「初めてのことづくしの旅でしたね。夏休み5日とったけど、夜行バスと合わせて全部で3日使ったし、とにかく疲れてしまって。しばらく大阪には行きたくないです」
交際していた彼とは、東京に帰ってすぐに別れたそうです。価値観が違うと、うまくいかないんでしょうね。
<取材・文/maki イラスト/朝倉千夏>