最近、物価高騰に関するニュースが増えました。食料品に加え、外食チェーンもどんどん値上げを行い、家計の負担が増しています。

こんな時に取り組みたいのが「節約」です。しかし、「節約しなければ」という強迫観念だけで間違った方法で節約を続けるーいわば、“節約中毒”になってしまうと、お金は減るのにストレスは溜まっていくという悪循環に陥ってしまうことも。

本記事では「節約中毒の悲惨な末路」について解説します。

「割引」に目がくらんで不要なものを購入

「30%割引」「定価から半額」といったシールが貼られている商品を見ると、つい買いたくなってしまうことありませんか。

割引のシールを見た時は一度深呼吸しましょう。

「本当にこの商品を買うべきなのか」

生活を思い出して考えてみてください。

お得に買えたとしても、その商品を消費せずに終われば、ただの無駄遣いでしかないのです。

「2個買えば1個無料」にも注意

大手宅配ピザチェーンの「1枚買うと1枚は半額」 というキャンペーンを目にしたことがある人いませんか?

実は、このような「2個買えば1個無料」のような謳い文句は、販売側の巧妙なマーケティング戦略の一つなのです。消費者はついお得な方を選んでしまいがちですが、冷静に考えてみると、実際には必要以上に商品を購入してしまう可能性があります。

上記の宅配ピザの場合、2枚買うと1枚は半額になりますが、そもそも2枚も必要なかった場合は、1枚だけ購入すればよかったことになります。結果的に、本来よりも高額な料金を支払ってしまうことになるのです。

このようなキャンペーンは、消費者の心理に巧みに働きかけ、必要以上に購入を促す効果があります。本当に必要なものだけを購入し、賢く節約するためには、冷静に判断することが大切です。

エアコンのオン・オフにこだわり過ぎると…

暑い夏、エアコンは欠かせない存在ですよね。しかし、電気代が気になって、つい電源をこまめにオン・オフしてしまう方も多いのではないでしょうか。

実は、エアコンのオン・オフを頻繁に繰り返すと、かえって電気代がかさむことがあるんです。

一般的に、エアコンは起動時に多くの電力を消費します。現代のエアコンは、自動温度調整機能がついています。つけっぱなしの方が効率的に涼しく過ごせるだけでなく、電気代も節約できることが分かっています。

もちろん、長時間外出する場合はエアコンを消した方が良いでしょう。また、エアコン内部やフィルターの汚れは、空調効率を低下させる原因にもなりますので、こまめに掃除をすることも忘れずに。

「お金」を節約して「時間」を無駄遣い

現代社会において、私たちは時間という貴重な資源をどのように使うべきか、常に意識する必要があります。

お金をかけずに節約しようとすることは素晴らしいことですが、そのために自分の時間を犠牲にしてしまうのは賢い選択とはいえません。

我々が持っている時間はお金と同様に、あるいはそれ以上に貴重なものです。

例えば、年収がどんどん上昇する人の共通点として「高機能家電を有効活用している」という特徴があるようです。

家電に家事を任せ、労力を減らすことで仕事のパフォーマンスが上がるのでしょう。

ルンバや食洗機などは、家事にかかる時間を大幅に削減してくれます。

高機能家電の購入はコスト面で躊躇されるかもしれません。しかし、家事を「機会費用法」で年収に換算すると、約370万円もの労働になります。

家電を活用すれば、時間と労力を100万、200万円分減らせます。 家事代行サービスの利用も同様です。

移動時間にも注意が必要です。

家計が苦しいからといって、食費節約のためにわざわざ遠くのスーパーまで足を運ぶ人いないでしょうか。確かに、食費は節約できるかもしれません。しかしその時間を別のことに投資したらどうなるか?と考えてみましょう。

例えば、副業をしている方は、遠いスーパーへの往復にかかる時間を仕事に充てれば、得られる収入の方がはるかに大きいでしょう。時間という有限な資源を、より価値の高いことに投資することが大切です。

節約中毒は自分を苦しめるだけ。家計の正常化を目指そう

節約は大切ですが、無理な我慢や過度な制限は、心身の健康を損ない、大切な家族との関係まで悪化させてしまう可能性があります。

節約は我慢ではなく、最小コストで生活を楽しむための知恵です。無理なく続けられる習慣を身につけることで、心豊かに暮らせる生活を実現しましょう。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。