◆理想の子ども像を押しつける両親によって完璧主義に

勉強を教えるお母さん 顔無し俯瞰
学生時代から完璧主義なところがあったという、秀美さん。それは両親の機嫌を損ねまいと苦労したからでした。

「テストでは常に100点を取れと言われました。他の点数は、0点と同じだからと。でも、頭がよくなかったので、80点台のことが多くて……。『あんたは馬鹿だ』と、よく怒られました」

テストだけでなく、普段の生活の中でも秀美さんは両親からの注意や指摘に怯えていました。例えば、食器を洗った後、シンクに水が1滴でも残っていると父親は激怒。「水を使った後は、水滴が残らないように必ずシンクを拭け」と怒られるなど、気の抜けない日常を送っていました。

「完璧だと両親は、『やっぱりあなたはすごい。私たちの子だわ』と褒めてくれましたが、少しでもミスをすると、『世間に笑われる』とか『みっともない人間だ』とか言われるので、そういう言葉を聞きたくなくて、両親が望む完璧な子であろうとしました」

自分が完璧主義だと気づいたのは実家を出て、ひとり暮らしをするようになってから。

「例えば、休日に掃除をするのがルーティンになっていたら、どれだけ疲れていても義務感のような見えない圧力に押されて、隅々まで清掃しないと気が済みません。上手く休めない日が続き、なんで誰もいないのに、誰かに認めてもらいたいかのように頑張ってしまうんだろうって思いました」