◆当時は、どこに行ってもハクについて聞かれるのが嫌だった
――入野さんご自身は、子役から活動されてきて、2001年公開の『千と千尋の神隠し』でハクを務めました。アニメファンでなくても知っている作品です。
入野「20年以上前の作品で、僕が中学生のころのことなので、覚えていることは少ないんです。それに当時はそんなに反響を感じていませんでした。いろんな人に観てもらったという感覚はあったんですけど、その反響の大きさが、ものすごいものだったんだというのは、大人になって改めて認識した感じでした。
当時はどちらかというと、嬉しさもありましたけど、正直、何をやってもハクのことを言われてしまうのが嫌だった時期もありました」
――そうなんですね。
入野「でも大人になっていくと、こうして取り上げていただけることが自分の名刺代わりになる。どこに行っても分かってもらえるものがあるというのは、すごく大きなことだなと。でもそういうことを感じるようになったのも、ここ数年になってからですね」
――名刺になると感じられるようになったのは、キャリアや年齢、時間が大きいですか?
入野「海外に行ったときにも分かってもらえるというのは、大きいと思いました。あとはいろんな作品をやらせてもらうことで、『千と千尋の神隠し』に囚われるのではなく、キャリアとして、いい作品に出来たことを、自分の自信につなげられるようになりました」