◆慎ましい結婚報告
この新郎役は、もちろんその後の中村自身のおめでたな話題を語る上でも欠かせないだろう。
同作の公開からちょうど1年を経た2023年3月25日、中村と水ト麻美アナウンサーの結婚報告報道があったからだ。中村がTwitterで公開した報告コメントにはこうあった。
「柄にもなく、少し形式ばった報告となり恥ずかしいのですが、この度、わたくし中村倫也は、水ト麻美さんと結婚いたしました」
なんと飾りけのない文章だろう。
今をときめく人気俳優でありながら、「柄にもなく」と前置きしつつ結婚を報告する態度はいかにも慎ましい。ファンへのさりげない配慮もにじむ。
◆さりげなくイケメンであり続けている人
そう、中村倫也の魅力とは、このさりげなさなのだ。超がつくほどの押し付けがましいイケメンなわけではない。でもさりげなくイケメンであり続けている人。
だから受け入れやすく、味わい深くもある。中村の演技を見ていると、不思議と彼自身に興味が湧くのはそのためだろう。なにやら恐怖の村八分テイスト漂う新ドラマ『ハヤブサ消防団』もまた自然と中村色に染まれる好作ではないか。
新人賞受賞以来、泣かず飛ばずのミステリ作家・三馬太郎(中村倫也)は、心機一転、田舎の実家に越してくる。荒れ果てた家を整え、縁側にたたずむ姿が素晴らしい。
『ウェディング・ハイ』のベランダ同様、どうも外気に接する場所に立つ中村は、格別に存在が際立つらしい。その横顔には、ああイケメンだなと安心して見ていられる心地よさがある。