◆「自分の子だから何を投稿してもいい」と思っていないか

――なんでもかんでもスマホで動画や写真を撮るうちに、感覚が麻痺していくのかもしれません。

芙和「これも自分に置き換えて考えてみてください。すごく痛い思いをして泣いている時に、家族に動画や写真を撮られたらどう思いますか? しかもそれを勝手にSNSにあげられちゃうんです。すごく嫌ですよね。

子どもも同じです。『子どもだからいい』ではないんです。子どもだからこそ親がきちんと配慮して、守ってあげる必要があるんです。もしも、『自分の子どもだから、泣き顔でもなんでもSNSに投稿しても良い』と思っているのではあれば、それは子どもを自分の所有物のように考えていないか、と一度立ち返ってほしいと思います」

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トイレ中にカメラを向けられる、痛くて辛い時に撮影される。そしてそれらの動画や写真を勝手にSNSに上げられてしまう……。自分に置き換えればとても嫌なはずなのに、これらの子どもの動画は数えきれないほどSNSに投稿されています。

「子どもだから大丈夫」「モザイクをかけているから大丈夫」という考えで、知らないうちに子どもたちを様々なリスクに晒してしまっている大人たちがいます。子どもにスマホを向ける前に、「子どもの人権を尊重しているか?」という意識を持つことの大切さに、改めて気付かされました。

【芙和せら】

一般社団法人<芙和せら>心理研究所 所長。公認心理師(国家資格)。芸術療法士(日本芸術療法学会認定)。神戸市生まれ、同志社大学卒業。広告会社営業職、専門学校のキャリアカウンセラーを経て、1996年に心理カウンセラーとして独立開業。子どもの心を生花で育てる「キッズベリー花育ラボ」、社会人対象の心理学スクールである「花と心の学校」「ハートステップ・カレッジ」の代表を務める。

<取材・文/瀧戸詠未>

【瀧戸詠未】

大手教育系会社、出版社勤務を経てフリーライターに。教育系・エンタメ系の記事を中心に取材記事を執筆。Twitter:@YlujuzJvzsLUwkB