「関西から生まれたグループだから、関西弁のサンプリングだったら売れる確率が上がるだろうって。たくさんの候補曲の中から『Lifetime Respect』が選ばれて、私たち自身も『めっちゃいいやん!』ってワクワクしました。ただ私とAiちゃん、どちらが曲の世界観に合ったボーカルかと言われると、やっぱり関西で生まれ育ったAiちゃんだった。ヒットを機にRSPはAiちゃんを中心に進んでいって。私は諦めを経て立ち位置を受け入れつつも、自分とチームのバランスの中でもがいていました」
RSPで活動した年月を振り返り、Sakiさんは「私もAiちゃんもお互いに苦しかった」と口にします。
◆女性ボーカルふたりが背負ったプレッシャー
「当時は似たようなガールズグループがたくさんいたから、差別化を図るためには“ちょっと不器用な関西弁の女の子”を押し出していくほうが、おもしろくて正解なのかなとわかっていました。元カレの話だったり、ペットの話だったり、家事が苦手な女の子の話だったり。基本はAiちゃんをメインにした世界観。でも私と彼女は、育ってきた環境も性格もまったく違う。あまりにも自分の内面とは違う楽曲なこともあって、インタビューでも何を答えたらいいかわからなかった。だけど、大人たちの期待やプレッシャーを一身に背負っていたAiちゃんも、すごくしんどかったはずです」
Sakiさんの目には「本当にまっすぐでピュアな人」に映っていたという相方のAiさん。グループ内での自分の軸を見つけられず、Sakiさんは次第に自分の存在価値がわからなくなっていったと言います。
「劣等感や自己否定の感情を抱えていると、自分自身がどこか醜く思えて、素直な感覚が鈍ってしまって。そして、その素直な感覚さえも、周りを含めた色々なことを考えてしまうと、表に出せないジレンマがありました。そんな中で、自分を上手く表現できなくなっていったのかもしれません」