そもそも、今回の会場となる各地のZeppは、公式ホームページで「全国のZepp全館において、モッシュやダイブなど周囲のお客様に危害を及ぼす可能性のある危険行為はご遠慮ください。」と明示している。だが実際には、モッシュやダイブなどを危険行為とみなして即刻退場させるライブもあれば、一部容認されているライブも散見されるのが現状だ。
今年4月26日にZepp Hanedaでロックバンド・MY FIRST STORYがワンマンライブを行った際には、公演当日にボーカルのHiroがX(旧Twitter)に「今日は兎に角どの曲でも死ぬほど暴れてくれ。以上」と投稿。ステージ上でも何度もフロアを煽り、モッシュやダイブが大量に発生。多くの観客が退場させられて問題化したことがあった。
Hiroに限らず、ロックやパンクス界隈ではオーディエンスのモッシュやダイブ、サークル、リフトなどが醸し出す一体感を歓迎する空気は根強い。文化か、安全か、その議論はまだまだ続くだろうが、今回の粗品の提言は、「知らないで巻き込まれる人」を少しでも減らそうという誠意に違いない。
(文=新越谷ノリヲ)