◆エンディングノートには夢を書いて
もののはずみさんは71歳。20年後は91歳です。97歳の義母を見て、ご自身の20年後を想像してみると言います。
最後まで家で過ごしたいけれど、身体的に施設に入居しなくてはならないかもしれない。子供には迷惑をかけたくない。亡くなった後の葬儀など、見て見ぬふりをしたい未来もあるはずです。それは、40代や50代を生きる私達も同じこと。
エンディングノートは、未来の自分への手紙なのかもしれません。生きていれば、じょじょに未来が減っていくのが世の常、でも、未来の自分を大切にしたいからこそ、しっかりと計画を立てるべきかもしれないのです。
もののはずみさんがエンディングノートに書いた夢は、「夫と青森旅行に行きたい」。素敵な夢を叶えて、自分らしい未来を生きるために、今日ももののはずみさんは「毎日の楽しさ」を更新し続けるのです。
<文/森美樹>
【森美樹】
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx