12球団の本拠地を見回せば、今夏に100周年を迎える阪神甲子園球場、築90年を超える明治神宮球場、1950年開業の楽天モバイルパーク宮城(県営宮城球場)など、歴史を重ねた球場はいくつもあり、開業36年の東京ドームなど、まだまだ“ひよっこ”と言えるだろう。しかし、巨人には人気球団ならではの特殊な事情がある。
「かつてより人気が衰えたとはいえ、常に球場はパンパン。東京ドームは交通の便も良く、特に移転する理由はありません。ただ、近年は各球団が球場自体の魅力を向上する取り組みを行っており、いわゆる“ボールパーク化”する動きが盛ん。その点で巨人は立ち遅れています。球場の格という点では、永遠のライバルである阪神の本拠地・甲子園に遠く及びませんし、カープは広島駅からすぐという絶好の場所に新球場を建て、街を大きく盛り上げています。また、昨年開業した日ハムのエスコンフィールドは、試合がない日にもイベントを開催し多くの来場者を集め、道内の新名所になっています。そんななかで巨人が、記念すべき100周年をあんなショボい球場で迎えるわけにはいきません」(同上)
とはいえ新球場建設は、最低でも数百億円がかかるビッグプロジェクト。そう簡単にことが動くとは思えないが、移転話は決して根も葉もない噂ではない。
「築地再開発事業の主体は三井不動産ですが、同社は東京ドームの親会社で、読売新聞とはズブズブの関係。三井不動産は東京ドーム一帯を再整備する計画を進めていますが、あそこまで立地が良ければ、巨人の力を借りなくてもドームシティに集客することは可能です。それなら、立地という点で劣る築地に巨人を持っていって、そちらのプロジェクトの価値を高める方がビジネスとしては賢明でしょう。また、巨人が東京ドームを借りているという事実も見逃せません。巨人は毎年、東京ドームに25億円とも30億円とも言われる賃貸料を払っており、自前の球場を持つのは球団の悲願。都内にもう新球場を建てられる場所は見当たらず、100周年というタイミングで千載一遇の好機を逃せば、もう2度と自前の球場は持てないでしょう」(ビジネス誌記者)