ミュージカル『テニスの王子様』や『獣拳戦隊ゲキレンジャー』、ミュージカル『刀剣乱舞』など、多くの作品で存在感を示し続けていた荒木宏文さんが、40歳の誕生日に改名。

「新木宏典」として新たなスタートを切りました。来年で20周年を迎える新木さんが感じる転機になった出来事とは。改名にあたっての思い、そして今後についてお聞きしました。

◆転機となったのは瀬戸康史の存在

――来年20周年です。ご自身のキャリアを振り返って、転機になったのはどういった出来事でしょうか。

新木宏典(以下、新木):転機はめちゃくちゃ多いと思います。でも、あえて言うなら瀬戸康史という後輩ができたのが転機じゃないですかね。

新木宏典
――なぜ瀬戸さん?

新木:もともと俳優をやっていく上でD-BOYSという俳優集団にいました。それにデビュー作もミュージカル『テニスの王子様』で、主人公のいる青学チームにいて。D-BOYSの仲間も多く出演していたので「なんか俳優なのに集団行動してるな」っていうことに違和感があったんです。正直、それどころじゃないんですよ。まず自分のことを何とかやんなきゃな、と思っていたので。

そのときに初めてできた後輩が瀬戸康史なんですね。当初はあまり深く考えていなかったんですけれど。

――特に先輩、後輩と意識することもなく?

新木:そうですね。自分のことでもいっぱいいっぱいだから「後輩どころじゃないよ」って思っていました。

でも、康史と事務所の制作で舞台をやることになったときに、自分と同じように自分のやることに集中して真面目に取り組んでる役者だと知って、親近感が湧いたんです。D-BOYSであることよりも、イチ役者であることに向き合って、自分のやるべきことを一生懸命やっていて、同じ志を持った後輩ができたんだって。

そのときに瀬戸康史の先輩でいることは、今後、役者を続けていく上で一生残るもの。だから康史が「先輩です」と言って恥ずかしくないような先輩でい続けなきゃ、と思いました。自分のためにじゃなくて、康史のために、恥ずかしくない役者にならなきゃって。誰かのためにやろうと思ったのは大きかったと思いますね。

新木宏典