◆真実味を持つ田中麗奈の表情
複雑な内面から人間の本質を開いてみせるのは、全編を通じて多部未華子の役割かと思っていたのだが、意外と田中麗奈だった。それがクライマックスを迎えつつある第10話でじんわりにじむのがいい。
空港で間違われたときの田中の表情は、すこし気が抜けているが、それだけに真実味を持っていると思う。人間ってこんなことばっかだよな。かと言って捨てたもんでもないな。というように、すこしだけ背中を押してくれるような表情。
思えば、田中が18歳ながら有力賞を数々受賞した主演作『がんばっていきまっしょい』(1998年)でも、全校生徒の中で周りをキョロキョロ見回す場面など、個人対複数での印象的な表情が際立っていた。