◆自身の価値観を披露することの「責任」

 心無い価値観を向けられた時の折り合いのつけ方がわかるシーンだった。また、それ以上に“悪口の言い方”についても考えたくなるシーンと言って良い。

 椿はある意味“幸せの象徴”とも言える結婚指輪を目にした時、それを「ゴミ」と捉えて冷めた視線を送ってしまうらしい。SNSやヤフコメに溢れているような、なかなかに心無い価値観ではあるが、不特定多数の前で発表したわけではない。紅葉たちの前でしか話していない。

 2話で椿は「言っちゃダメなことはたくさんあるけど、思っちゃダメなことはないです」と話していたが、言っちゃダメなことでも信頼できる友達の前であれば問題はない。裏を返せば、「不特定多数の人の目につく場で自身の価値観を披露したいのであれば、それなりの責任と覚悟を持たなければいけない」ということを感じられた。

 差別的・暴力的な心無い価値観を抱くことを否定せず、それでいてそういった価値観をどのように扱えば良いのかに気付ける10話。いよいよ次回が最終回となったが、最後にはどのようなメッセージを残してくれるのか楽しみだ。

<文/望月悠木>

【望月悠木】

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki