本部長は「心の底からお詫びができないので、今の話を聞いていると」とまで言い出し、最後に「東山と相談する」としたものの、女性は思わぬ対応にショックを受けた様子だった。

 SMILE-UPは、表向きは真摯に被害者に謝罪と補償対応をしているというイメージがあった。だからこそ、NHKは16日の定例会見で稲葉延雄会長が被害補償の取り組みなどを評価し、これまで見送ってきた後継事務所「STARTO ENTERTAINMENT」所属タレントの新規起用を再開すると発表したのだ。

 しかし、番組で放送されたSMILE-UP側の電話シーンから受ける印象だと「ジャニー氏やメリー氏がやったことをなぜ自分たちが謝らなければいけないのか」「被害者に対して心の底から申し訳ないとは思っていない」といった本音が露骨に伝わってくる。最終的には東山氏が女性と面会し、謝罪したとのことだが、 電話のやり取りをあえて放送した番組側には明確な「意図」 があるはずだ。

 もう一つの衝撃シーンは番組のラスト。「2024年10月16日 NHKはスタートエンターテイメントの所属タレントへの出演依頼を可能とすると発表した」とのテロップが出され、さらにNHKのコメントとして「この問題はこれで終わったとは考えていません。NHKも当時の認識や対応が十分ではなく、メディアの責任を果たせなかったと自省しています。改めて性加害をはじめとする人権侵害は決して許さないという姿勢を取引先も含めて浸透させ、新しい事実が出てきた場合の検証は報道・番組を通じて行い、公共放送としての役割を果たしていきたいと考えています」との文章が発表された。

 先述の電話のやり取りなどを踏まえて最後のテロップを見ると、明らかにSTARTOタレントの起用を再開した自局への皮肉に見える。これに対しては、視聴者からも「取材班の局側への静かな怒りを感じた」「テレビでここまで自局の他部門を公然と放送で批判したケースって過去にもないのでは」「補償本部長のヤバイ電話のやりとりとNHK出身の現スタート社幹部に突撃取材という爆弾を仕込んで最後のテロップで締めるの凄すぎた」といった声が上がっている。