このような庵野監督作品における横断的な試みは、これまでキャラクタービジネスにおいて大きなメリットも指摘されてきた。たとえば前述の『シン』を冠とした実写映画3作品と長編アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の4本は、「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」として、コラボレーション企画を実施。さまざまなイベントの開催やグッズの製作が行われている。さらにパチンコ・パチスロでは、「ゴジラ対エヴァンゲリオン」という2作品のコラボシリーズも登場した。
アニメ関連の講師やライターとして活動するいしじまえいわ氏は、新作の『ヤマト』について「まだ作品タイトルに”シン”が付くとは発表されていないため、今回の『ヤマト』は“シン”とはまったく別のユニバース作品になる可能性もある」としたうえで、庵野監督のキャラクタービジネスの特異性を挙げる。
「新しい『ヤマト』に“シン”が付くにせよ付かないにせよ、庵野監督は、まずは作品そのものを面白くすることに注力されるでしょう。その後に続くキャラクタービジネスに関しては、今回もファンが予想もしないようなものになるはずです。
というのもかつて庵野監督は、ロボットアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』側からのオファーを受けて、2018年から何度も『エヴァ』と『シンカリオン』のコラボを実現しています。その時は作中に『エヴァンゲリオン』のエヴァやシンジくんなどが登場したり、高橋洋子さんの『残酷な天使のテーゼ』が流れたりエヴァに変形する新幹線玩具が商品化したりするなど、ある意味シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバースよりもコアなコラボが実現しました。
エヴァが新幹線になる、ゴジラやウルトラマンやライダーと合体して巨大ロボになるなど、特異なコラボが生まれるのは、庵野監督自身の作り上げた世界観の魅力に惹かれた企業が、さまざまなコラボ案件を企画・提案するから。監督側はそのなかからファンが驚く面白そうなものを選んで実現している、という印象です」