◆交代制なら仕方ないと、役員を引き受けることに

 そして生活が落ち着いてきた翌年の3月頃に、町内会の地区長と名乗る人物が訪問してきたそうです。

「町内会には、さらに番地ごとに区切られた地区会というのがあって、地区会は10軒から20軒ほどで作られているんです。地区会を束ねる“地区長”のほかに、それぞれの家に集金をしたりお知らせの紙を届けたりする“地区役員”という雑用係のような役割があるのですが、役員は毎年交代制らしくて……。

 地区長が訪ねてきたのは、『4月からの次の役員は、ヒロエさんのところね』ということを伝えに来たためでした。仕組みもよくわからなかったし、順番なら仕方ないと思って、その場で了承しました」

◆順番的に“ウチじゃない”ことが判明!

掃除
 引っ越して半年ほどで町内会や地区会の仕組みもよくわからなかったものの、地区長に言われた通りに集金や資料配布などを行ったヒロエさん。

 2ヶ月に1度、各地区会の役員が集まる会館の清掃にも、きちんと夫婦そろって参加していたそうです。

 そんなある日、他の地区の役員と話す機会があり、驚きの事実を聞かされたのだとか。

「その方に『引っ越してきて早々に、役員を押し付けられちゃってかわいそうねぇ』と言われたんです。『え? 順番ですよ』と言うと、『違うわよ。あなたの地区、次の役員はあなたのところじゃなかったのよ!』と……。

 よくよく話を聞いてみると、本来であれば役員は番地ごとに順番が回ってくるらしいんです。わが家の順番はまだまだ先だったのに、『われわれは今まで頑張ってきたんだから、今度は若い人にやらせちゃえ!』ということになって、わが家に順番が回ってきたらしいんです」

 なんと、順番をすっ飛ばしてヒロエさんに役員が回ってきたことが判明。

 とはいえ、すでに役員として数ヶ月が経っているため今さら交代するわけにいかず、翌年3月の任期満了まで役員を務めました。