2:日本庭園は御屋敷から眺めてもよし、散策してもよし

入場門をくぐると、さっそく目の前には緑豊かな光景が広がります。特に「このルート通りに」というものはなく、自由に散策できるのですが、一番最初に石畳に沿って御屋敷に向かうとスムーズに全体が廻れると思います。

発掘調査をしたということですが、調査時に切り倒されなかったと思われる木々は、とても年季が入っており、相当昔からあると思われます。

御屋敷のある建物に入るとすぐに、「レストラン活水軒」があります。

御屋敷の庭を眺めながら、お食事・喫茶が楽しめるとあって、とても人気があるので、ここで飲食をしたい場合は並ぶ時間も見ておいた方が良いと思います。覚悟が必須です。この日は筆者は14時ごろに行きましたが、それでも待っている方がたくさんいらっしゃいました。

レストランを過ぎると、外の渡り廊下に出て、だんだんと良い雰囲気になっていきます。

とても素敵な光景を見ながら渡り廊下を歩くのも、また楽しいです。そうこうしていると、御屋敷内に入っていきます。御屋敷と言っても、とてもオープンな造りです。

一番の見所「潮音斎」

「潮音斎」とは、御屋敷から眺められる、1番の見所です。中秋の名月を愛でるのに最良の方向に向けて建ててあるんだそう。姫路城の周辺にある 姫山原生林 が奥に映え、雄滝と大池の眺めは壮観です。

散策が楽しい「池泉回遊式庭園」

さらに御屋敷を通り抜けると、池泉回遊式庭園 の散策が楽しめます。池泉回遊式庭園とは、簡単にいうと、大きな池や泉を中心に、周囲をぐるっと回遊しながら散策できる庭園です。

ただ散歩道があるのではなく、景観がとにかく大事。 大きな池の中には、小さな島を設えたり、そこへ人が歩ける橋がかけてあったりします。

また、築山(小高い小さな丘のようなところ)や 名石 を置いたり、他の土地にある景勝地をモチーフにした庭造りも。広い庭ですし、ゆったり優雅に庭を眺めることもできるよう、休憩処としての 茶屋東屋 があるのも定番です。もちろん、木々や花々も優雅に設えてあります。

3:9つの特徴ある庭

好古園は、冒頭に紹介した通り、御屋敷の遺構を元に再構築されただけではなく、屋敷割や通路の地割を生かして、9つの庭で構成されています。1つは一番最初にご紹介した「御屋敷の庭」。その他に、8つもの特徴的な庭があります。

全て素晴らしいのですが、その中の4つの庭を写真でご紹介いたします。

苗の庭

御屋敷の庭を出ると、一番最初に目にするのが「苗の庭」です。ここは「庭」というより 栽培所 。とてもたくさんの種類の苗が栽培されています。

流れの平庭

御屋敷の庭のような壮大さはありませんが、穏やかな水の流れと木々や花を楽しめる、明るい庭園です。春は枝垂れ桜、夏はカキツバタや花菖蒲がとても綺麗なのだそう。筆者が訪れた秋には紅葉が綺麗でした。

歩き疲れたり、ゆったり景色を眺めたい方は、流れの岸辺にある東屋の「流翠亭」に座って寛ぐことができます。

松の庭

「松の庭」にある松の樹皮を見ると、どれもこれも、龍の鱗 のように立派です。この庭園は、瀬戸内海地方で美しい風景の アカマツ林 をイメージして造られたんだそう。

ここにも、小川のせせらぎがあり、穏やかな水の流れと松の光景が楽しめます。

竹の庭

日本の中で、これだけたくさんの種類の竹を、一度に見られる場所はなかなか無いのではないでしょうか。その庭が「竹の庭」です。全部で15種類もあるんだとか。ぜひ、15種類ずべて見つけてみてください。

中央にある東屋の「聞竹亭(もんちくてい)」は、八角の和傘をイメージしたデザインだそう。

また、ここは他の庭と少しイメージが違うなと感じるのは、おそらく、周囲が漆喰の屋根付きの壁「築地塀」に囲まれているから。まっすぐ上に伸びる竹と、築地塀の対比が 山水画 を思わせる風景を作り出しています。

その他にも・・・

夏木(落葉樹)いっぱいで新緑から紅葉まで楽しめる「夏木の庭」、江戸時代から親しまれた山野草のある「花の庭」、モミジやクロマツなどが映える典型的な日本庭園の「築山池泉の庭」があります。

また、9つの庭を散策していると、時折、姫路城の大天守が見られる写真スポットもあるので、その辺りも気にしてみるのも良いと思います。