「夢の一歩を踏み出すAさんがまぶしくて、何かお手伝いしたいなと思いました。最初は少量から販売しはじめましたが、予約も入るようになって評判は上々。雨の日もあるし、自転車でパンを運ぶのが大変だろうと、わたしが車で運んであげると申し出たんです」

初めは申し訳ないと渋っていたAさんですが、ある雨の日にパンを運んであげたことから、毎週のように車でパンを運ぶお願いをされるように。岩沢さんが自ら申し出たことなので、最初はAさんの夢を応援しているつもりで積極的にお手伝いを買って出ていましたが、徐々にAさんの態度が変化しはじめました。

◆子どもが熱を出して断ったら…

自動車運転 女性ドライバー
そんなある日、事件が起こります。

「最初は申し訳なさそうだったのに、徐々に『10時に取りに来てくれない?』などと指令が入るようになりました。当然ですが無償です。ある日子どもが熱を出し、幼稚園を休んだんです。その日はあいにくの雨でAさんも大変とは思いましたが、パンを運ぶのを断ったんです。すると『えー困るなぁ』と返事が。今まで好意でやっていたことだし、今回は娘が熱を出しているのに、大丈夫?の声もないってどうなんだろうと思いますよね」

かなりの理不尽さを感じつつ、Aさんが困るだろうとその日は夫が在宅していたため、結局パンだけ運びに彼女の家に行き、幼稚園までパンを運んであげました。けれど今後は距離を置くと決めたそうです。

「最初にわたしが手伝うと言い出したのがそもそもの始まりですが、わたしは運び屋でもパシリでもないので付き合い方を考えようと思いました。ちょうど進級してクラスも変わったので、それを機に断ろうと。夫の両親が調子が悪く、車を自由に使えないということにして、パン運びを断りました」

すっかりパンの運び屋として定着していたのでAさんにあれこれ言われましたが、そこは心を鬼にして断ったそうです。おかげで無事、運び屋から脱却できたのだとか。