あ、それで思い出したんですが、結ちゃんがギャルとパラパラすることになったことを知ったママが、パラパラのパラパラマンガ(振り付けのイラスト)を結ちゃんに描いてあげるシーンがあったんですが、ここで結ちゃんうれしそうに「ありがとう」って言ってたんですよね。昨日、リサポンに同じのをもらったときは「へえ」だけだったのに。このへんで、またひとつこのドラマの思想が見えたような気がしたんです。

■それは「慎み」なのかもしれない

 ハギャレンと一緒にいても、一向に楽しそうにしていなかった結ちゃん。今回、家に呼んだことでパラパラをやる気があることはわかりました。

 だったら、なんでもっと積極的に参加の意向を示すシーンがなかったんだろうと考えたんです。もう一度言うけど、家に呼ぶことになるまで結ちゃんから「パラパラも楽しそうだ」という気持ちを察することは一度もなかった。

 で、結ちゃんパパ(北村有起哉)は最近、糸島のお祭りの実行委員になってるんですけど、この会合で「ハギャレンにいる結ちゃん」とまったく同様にクソつまんなそうな顔をしてるんですよね。自分はここにいるべき人間じゃない、本当は床屋なのに嫌々農家をやっている、という顔をしている。

 その割に、会合から帰ってきたら「みんな糸島のことを真剣に考えてる」みたいな、ちょっと感動したようなことを言っている。

 パパも結ちゃんも、思ったことを顔に出さないという共通点があったんです。

 これ、もしかしたらこのドラマは「慎み深い人」として描いてるのかもしれないと思ったんです。感情を表したり自分の意見を声高に主張したりすることは不躾な行為だと思ってるのかもしれない。だから、結ちゃんはパラパラに、パパは実行委員に、「つまんなそうに」かつ「積極的に」参加しようとしている。

 そう解釈すると結ちゃんがハギャレンを家に呼んだプロセスにもようやく納得がいくんですけど、そうだとするとパラパラマンガの件ね、家族には不躾でもいいから笑顔で「ありがとう」を言うけど、リサポンにお礼を言わないのは、率直に感謝を述べるのは不躾であるという非常に間違った考え方を持っていることになっちゃって、また矛盾が生じてしまう。困る。困った。