ドルコスト平均法はリスクがないって本当?

こんにちは、元外資ファンドマネージャーの西出滋です。
  今回は「ドルコスト平均法」について解説していきます。
投資について勉強したことのある方なら、一度は耳にしたことがあると思います。 一般的に「ドルコスト平均法はリスクがない」と言われますが、本当にそうなのでしょうか? ## そもそもドルコスト平均法とは? 

まずは、ドルコスト平均法とは何なのか説明していきます。

ドル・コスト平均法(英: dollar cost averaging、DCA)
株式や投資信託などの金融商品の投資手法の一つ。定額購入法ともいう。金融商品を購入する場合、一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して投資する。例えば「予定資金を12分割して、月末ごとに資金の1/12を投入し、一年かけて全量を買う」という手法。
(参照:Wikipedia)

つまり、ドルコスト平均法は、自分が積み立てると決めた商品のコストを平均化するという意味で、一気に買わないということ。
同一商品に対して一定額を一定周期で投資していくので、価格が高い時には買える数量は少なくなり、価格が低い時には買える数量が多くなります。

ちなみに、金融業界は米国中心にまわっているので、英語でドルコストと表現していますが、日本語で言えば円コスト平均法です。
その国の通貨で積み立てるということで名前が付いています。

ドルコスト平均法の具体的なやり方とは?

例えば、手元に120万円あった場合、1回で120万円を投資するのではなく、1年間毎月10万円投資します。

このように、毎月一定金額で積み立てるのがドルコスト平均法。

ドルコスト平均法は、高くなったら買える量が少なく安くなったら買える量が増えます。

そのため、とても良いリスク分散になるという説明を多く耳にします。

ドルコスト平均法で積み立てれば、リスクが無い長期分散で積み立てるので、「ドルコスト平均法はリスクが軽減出来て積み立てには最適」「資産形成には最適」というFPや保険屋の人が多いです。

FPや保険屋の方が主催するマネーセミナーでも、ドルコスト平均法は必ず紹介されています。

ドルコスト平均法で本当にリスクは分散されている?

果たして本当にリスクは分散されているのでしょうか?

そもそも投資におけるリスクとは、価格のブレのことを指します。
価格が下がることだけでなく、価格が上昇することもリスクなのです。
つまり、簡単に言うと、値動きの大きさがリスクとなります。

そう考えると、ドルコスト平均法は、価格が上昇するリスクには目をつぶり、価格が下落するリスクにのみフォーカスしていることになります。

またリスク量とは、その時の投資額に価格のブレをかけて計算します。

そのため投資額が大きければ大きいほど、もしくは投資対象の価格のブレが大きいほどリスク量も大きくなります。

ドルコスト平均法はその名前の通り、コスト(購入単価)を平均化する手法。

決して時間的なリスクを分散しているわけではなく、投資タイミングを分散しているだけなのです。
積立期間が終わった時に、コロナショックのような急落が発生したら、それはリスク分散が効いていたと言えるでしょうか?

リーマンショック後の最安値から期間10年で積立を開始して投資をしていたら、積立期間が終了した最もリスク量が大きくなったタイミングでコロナショックが発生したことになります。
しかもこの期間は基本的に右肩上がりなので、平均購入単価は積立開始時点で一括投資した場合よりコスト高になっています。

ドルコスト平均法のデメリットも理解しておこう

ドルコスト平均法が決して悪いというわけではありません。

あたかもドルコスト平均法が万能だという考えがよくないだけです。

そして、ドルコスト平均法で投資をして損をして投資を止めてしまうことが残念です。

私は本当にリスク分散をするのであれば、投資対象を分散させる方が良いと思っています。
たとえば、株を中心としたポートフォリオにするならば、株と連動しない債券や金を組み合わせるなど。

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