ひとりは、寅子と明律大学で法律を学んだ学友で、戦後に弱い立場の人々を助ける弁護士になった山田よね(土居志央梨)。もうひとりは、寅子が法曹界を志すきっかけになり、最終的には最高裁判所第5代長官になった孤高の判事、桂場等一郎(松山ケンイチ)である。
ふたりとも極端に堅牢な性格で、人付き合いが得意ではない。誰に何を言われようと自分の意見は曲げない。だから、ライアンからのニックネームによって自分固有の名前が薄れてしまうことを頑なに嫌ったのだろう。
◆松山ケンイチの気になる付着物
もちろん可愛いところもある。特に桂場は、大の甘いもの好き。寅子たちも常連だった甘味処「竹もと」のあんこ団子を求めて、足しげく通った。他にもサツマイモを職場に持参したり、とにかく甘いもの好きキャラが随所で印象付けられた。
第50回では、「ジャムの方だ」とライアンが常備するイチゴジャムを早くよこせと所望していた。判事としてはあれだけ厳めしいのに、甘いものの前では子どものようになる。ライアンが提供する一匙のジャムの魔力は強力だった。
第46回で、門前払いされそうになった寅子を人事課長だった桂場の元に連れていくのもライアンのアシストによるものだったが、そのとき桂場の鼻に何か黒っぽいものが付着していた。視聴者みんなが気になったその付着物。
ライアンがひょいと軽やかに取ってやるそれが、サツマイモの皮だったのか。気になる。桂場役の松山ケンイチも、Xで「桂場、鼻になんかくっついてるぞ」とポスト。演じる本人すら気になっているくらいだ。
◆松山ケンイチによるユニークな沢村一樹評