リスクヘッジや資産運用を考える際はもちろん、日頃のお金を管理する上で銀行口座を複数持つことにはさまざまなメリットがあります。今回は、銀行口座を複数開設するメリットと注意点を詳しく解説しますので、大手・地方・ネット銀行をどう使いこなせばよいか考えてみましょう。この機会にご自身の銀行口座について見直してみませんか。

複数の銀行に口座を開設するメリット

まず、複数の銀行に口座を開設するメリットを3つ紹介します。

メリット1. ペイオフ対策になる

ペイオフ(預金保険機構による払い戻し制度)とは、銀行がもし破綻しても1人1金融機関あたり1,000万円までは預金が保護される仕組みのことです。例えば、A銀行に1,500万円預けている場合を考えてみましょう。

A銀行が破綻した時、保護の対象になるのは1,000万円とその利息までです。つまり、500万円分は損をしてしまう可能性があります(保護の基準を超える部分は破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われます)。

一方でA銀行に1,000万円、B銀行に500万円預けている場合はどうでしょうか。A銀行とB銀行どちらも破綻しても、1,500万円すべてが保護対象です。複数の銀行に口座を持つことはペイオフ対策となり、大切な預金を守ることにつながるのです。

メリット2. 各銀行の特徴を生かす

銀行には、大手銀行、地方銀行、ネット銀行などいくつかの種類があり、それぞれ強みが異なります。銀行口座を複数持ち、効果的に活用することで、各サービスの“いいとこどり”がかなうでしょう。

各銀行の特徴については、記事後半にて言及します。

メリット3. お金の管理が楽になる

1つの口座で生活の支払いも貯蓄もしようと欲張ると、なかなかお金が貯まらないといった結果になりがちです。口座が1つのほうが管理しやすいと感じる人もいるかもしれませんが、別の考え方もあります。目的に応じて口座を使い分けることで良い点もたくさんあります。

詳しい管理方法については、記事後半にて紹介します。

複数の銀行に口座を開設する注意点2つ

銀行口座を複数持つことはメリットが多い一方で、注意点もあります。

注意点1. お金の管理が煩雑になることも

複数の銀行口座をやみくもに開設すると、お金の管理がかえって煩雑になってしまうことがあります。開設しすぎてもよくありません。それぞれの銀行の違いを知り、目的に応じて口座を開設しましょう。

注意点2. 将来的に未利用の口座に手数料がかかる可能性も

長らく動きのない口座でも、存在する限り銀行側には管理の手間が発生します。こういった問題点を受け、一部の銀行では一定期間取引のない口座に手数料がかかるという動きがあります。今のうちに利用口座を整え、自分なりの管理方法を確立しておきましょう。

目的に応じて複数の銀行口座を開設する一番のメリットは、お金の管理がしっかりできること

冒頭でお伝えしたメリットの通り、銀行口座を複数開設するとお金の管理が楽になるでしょう。しっかり目的を据えることが大切です。どういうことか詳しく紹介していきます。

銀行口座は生活費用の「メイン口座」、いざという時のための「臨時口座」、貯蓄のための「積立口座」の3つを開設し、用途に合わせてお金を管理します。ここからは、具体的な用途を確認していきましょう。

生活費用の「メイン口座」

メイン口座は給与を受け取ったり、生活費を支払ったりするための口座です。メイン口座は全国に支店やATMのある大手銀行が適しているでしょう。大手銀行なら、転勤や転職、結婚、両親の介護などで生活圏が変わってもそのまま口座を使い続けられる可能性も高くなります。

いざという時のための「臨時口座」

臨時口座は、生活費とは別にいざという時の資金を一定額置いておくための口座と考えます。例えば、パート収入や副業収入を臨時口座に入れておく、といった運用が考えられます。臨時口座は使い勝手が良すぎるとお金をおろしたくなるため、あえて普段使わないような銀行で口座を開設するのも1つの手です。

貯蓄のための「積立口座」

貯蓄で大切なことは、お金を使う前に天引きして、簡単には引き出せないようにすることです。

使いすぎを防ぐためにはメイン口座と同じ銀行で、定期預金の自動積立サービスを利用するとよいでしょう。自動積立なら、給与が振り込まれたあと自動で毎月一定額が積み立てられるため、自然とお金が貯まっていくでしょう。