◆会計時、リーダーに睨まれて……

ファミレス 会計 女性
「集団の頼む料理は、毎回だいたい同じだったんです。そのことに気が付いたら、スムーズに接客できるようになりました。ちなみに、リーダー格は、毎回高い料理とドリンクバーを注文。いわゆる下っ端の人たちは、ドリンクバーすら許されず、水にさりげなくガムシロップを入れて、それだけを飲んでいました。こういう集団の上下関係も大変なんだなあと、そんなことまで考えられるぐらい、余裕を持って接客できるようになったのですが……」

 しかし、集団への接客にも慣れたある日、玲さんがファミレスを辞めるきっかけになった、最悪な出来事が起きてしまったと言います。

「ある日の集団の会計のときに、リーダー格が突然、『最近てめぇは調子に乗ってるみたいだけど、ミスがあったらわかってるだろうな』と凄んできて。私の顔とレシートを交互にジロジロと睨みつけてきたので、泣きそうになるぐらい恐怖を感じました。集団のほかの人たちはただニヤニヤと私のことを見てきて、それも怖かったんです」

◆頑として対応を嫌がる店長

 そして、リーダー格は、「ここ、ミスあるじゃねぇか!! 店長呼べ!!」と、玲さんを激しく怒鳴りつけてきたそうです。

怒っている男性
「涙目になりながら、例の頼りにならない責任者を呼びに行きました。そうしたら、『玲ちゃんがどうにもできないなら、俺にもどうにもできない。ここはどうにかして穏便に……』と言い出したんです。絶句しました。ほかの店員も、見て見ぬふりをしているだけでした。私は殴られる覚悟で、リーダー格に『この時間帯の責任者は私です。申し訳ございません』と嘘をつき、深々と頭を下げて謝罪しました」

 すると、意外にもリーダー格は、「次からは気を付けろよ」と言って、集団は帰っていったそうです。

「集団が帰ったあと、私は腰が抜けて、号泣してしまいました。集団が怖かった以上に、誰にも頼れない、誰も味方になってくれない、ということが悲しすぎたんです。それからは恐怖で夜勤に入れなくなってしまい、本部に店の実態を報告したら、本部はその後、さまざまな改善対策をしてくれました。我慢しないですぐに報告しておけばよかったと後悔しましたが、結局私は店を辞めることに。今は新しいバイト先でも、恐怖心から、夜勤はしないようにしています」