コロナ禍の孤独感を商機とし、純粋に運命のパートナーを求めて入会したであろう人たちを、会員同士で「あの人がツインフレーム」とけしかけ強引にマッチングさせる。そこには、マインドコントロールや不安商法といったしくみも介在している。

しかしそんなマッチングはうまくいくはずもない。結局、苦しみながらもサロンから抜けられず、金も労働力も搾取されていくという構造が発生していた。

ドキュメンタリーが追った内容では、さらにショッキングで非人道的な行為まで行われていたが、ここはネタバレになってしまうので、興味のある方はぜひ見ていただきたい。

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こうしたいろいろなケースを見ていると、暴走する本人の問題以前に、やはり沼をけしかける存在が圧倒的に問題だと思わされる。

古今東西、恋愛問題は多くの人が関わる身近なテーマでありながら、手軽な解決法は存在しない。それゆえ商売の格好のネタとなり、よきアドバイザーとなればリピーター獲得につながるだろう。だが、依存させて妄想にハマらせる、こうした悪質なものが数多く存在している。

◆誰も幸せにならない

亜紀さん夫婦が巻き込まれたこのケースは、お相手としては幸せを求めて信じたのに、自分も相手もその家族も、誰も幸せにならない不幸な沼である。

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不確かなものを信じる勇気はときに素晴らしい力を発揮するだろうが、自分のふるまいを顧みる余裕は必須である。

その後、亜紀さん夫婦から解決の報告は、まだ来ていない。

<取材・文/山田ノジル>

【山田ノジル】

自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru