対策として、後遺症患者のコミュニティ内で警戒すべき情報を交換したり、誹謗中傷を行うアカウントをブロックしたりしました。

今は、医療従事者には徐々に後遺症に対する理解が広まってきていることもあり、初期と比べると誹謗中傷はだいぶ下火になっています。しかし、何かの拍子に投稿がバズると、誹謗中傷が急激に増えるので疲弊します。

鍵アカウントにすることも検討しましたが、情報を必要とする人のところに届かなくなってしまうため、今は公開しています」(えぞいちごさん 以下カギカッコ同じ)

◆後遺症を語れなかった

――新型コロナウイルスやその後遺症についての報道が少ない現状について、どのようにお考えですか。

「後遺症について語ることがタブーとされていた期間が非常に長かったと思います。

Twitter上での後遺症の存在否定の誹謗中傷だけでなく、その他に私自身の経験したことですが、ニュースサイトのコメントに『後遺症を診てくれる病院がない』と書いたら、それ以降書き込みができなくなりました。

患者さんの中には、Xで後遺症についての投稿をしたところ、アカウントをバンされたケースもありました。こういったことから思うに、後遺症を話題に扱ったり、表立って意見したりすることが阻まれていたのではと感じています。

私たち後遺症患者は、長い間、見えていない幽霊のような扱いでしたね。

また、後遺症を扱うことに消極的な報道姿勢には疑問を覚えます。感染対策と経済活動が対立すると一部では考えられているためだと思いますが、相反するものではないと私は考えます。

新型コロナウイルス感染症及び後遺症に関する事実をきちんと認識・把握・周知し、その上で感染対策をして、後遺症になって働けなくなったり、パフォーマンスが落ちたりする人を出来る限り減らすことは、長期的視点から言って、経済を回すことにつながるでしょう。報道関係者はその視点を持ってほしいですね」